
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、申請者がどのような方法で産業廃棄物を収集し、どこへ運搬するのかを明らかにする「事業計画」を作成します。
事業計画には、主に次のような内容を記載します。
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 排出事業者や積込場所
- 搬入先となる処分施設
- 予定する運搬量
- 使用する車両や運搬容器
- 収集運搬業務の具体的な方法
- 飛散・流出などを防止するための措置
単に申請書の欄を埋めればよいものではありません。取り扱う産業廃棄物の性状、車両・容器、運搬先、必要な許可区域などに矛盾がないよう、実際の事業内容に沿って計画を組み立てる必要があります。
あさぎ行政書士事務所では、宮城県・仙台市を中心に、産業廃棄物収集運搬業許可の事業計画作成から申請までサポートしています。
産業廃棄物収集運搬業許可における事業計画とは
事業計画とは、申請者が産業廃棄物収集運搬業をどのように行う予定なのかを、行政庁に説明するための書類です。
宮城県の許可申請では、「事業計画の概要を記載した書類」として、次の内容を記載します。
- 事業計画の概要
- 運搬施設の概要
- 積替えまたは保管施設の概要
- 収集運搬業務の具体的な計画
- 環境保全措置の概要
- 運搬車両の写真
- 運搬容器の写真
事業計画と車検証、車両写真、容器写真などの添付書類は、それぞれ別々のものではありません。申請する産業廃棄物を安全かつ適正に運搬できる計画になっているか、一体として審査されます。
事業計画で整理する主な内容
1.取り扱う産業廃棄物の種類
最初に、実際の事業で取り扱う産業廃棄物の種類を整理します。
建設工事に伴って排出される廃棄物であれば、例えば次のような品目が考えられます。
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
ただし、同じ名称で呼ばれている廃棄物でも、発生した工程や性状によって、申請すべき品目が異なることがあります。
また、紙くず、木くず、繊維くずなどには、産業廃棄物になる場合の業種指定があります。どの事業活動から排出されたものでも、必ず産業廃棄物になるわけではありません。
「念のため、すべての品目を申請しておく」という考え方ではなく、実際に取り扱う予定があり、事業計画として説明できる品目を選定することが重要です。
2.排出事業者・積込場所
どのような事業者から委託を受け、どこで産業廃棄物を積み込むのかを整理します。
新規申請の段階で、すべての取引先が確定しているとは限りません。その場合でも、予定している排出事業者の業種、積込場所、発生する廃棄物などを、分かる範囲で具体的に整理します。
例えば建設業者であれば、次のような内容を確認します。
- 元請会社または排出事業者
- 工事現場の所在地
- 工事の種類
- 発生する廃棄物
- 自社運搬か、他社から委託を受ける運搬か
自社の工事から発生した産業廃棄物を自ら運ぶ「自社運搬」と、他社から委託を受けて運ぶ「収集運搬業」では、許可の要否が異なります。
3.運搬先となる処分施設
収集した産業廃棄物を、どの処分施設へ運搬するのかを記載します。
運搬先については、少なくとも次の事項を確認しておく必要があります。
- 処分業者の名称
- 処分施設の所在地
- 処分方法
- 処分業者が許可を受けている産業廃棄物の種類
- 受入れ可能な廃棄物の性状
運搬しようとする廃棄物が、処分業者の許可品目に含まれているかを確認することが重要です。
収集運搬業者が許可を持っていても、運搬先の処分業者がその廃棄物を受け入れられなければ、適正な事業計画にはなりません。
4.予定運搬量
産業廃棄物の種類ごとに、予定する運搬量を記載します。
申請時点で正確な運搬量が確定していない場合でも、想定する取引先、工事の規模、運搬回数、車両の積載量などから、現実的な数量を算出します。
予定運搬量が車両の能力や運搬回数と大きく食い違っていると、事業計画の整合性を確認される可能性があります。
過大な数量を形式的に記載するのではなく、実際に見込まれる事業規模に沿って設定します。
5.使用する車両
事業計画には、収集運搬に使用する車両を記載します。
主に次の事項を確認します。
- 車両の種類
- 最大積載量
- 所有者と使用者
- 申請者が使用する権限
- 取り扱う廃棄物との適合性
- 過積載にならない運搬計画
ダンプ車、キャブオーバー、バン、脱着装置付コンテナ専用車など、廃棄物の種類や運搬方法に適した車両を選ぶ必要があります。
宮城県への申請では、有効期間内で、所有者と使用者の両方を確認できる車検証の写しが必要です。電子車検証の場合は、「自動車検査証記録事項」も準備します。
6.運搬容器
廃棄物の性状によっては、車両だけでなく運搬容器も必要です。
例えば、次のような容器が使用されます。
- フレキシブルコンテナバッグ
- ドラム缶
- 密閉容器
- 蓋付きコンテナ
- 専用ケース
液状または泥状の廃棄物、粉じんが発生しやすい廃棄物、悪臭のある廃棄物などは、飛散・流出や悪臭を防げる容器を選定しなければなりません。
運搬容器を使用する場合は、容器の写真を申請書に添付し、どの産業廃棄物に使用するのかを事業計画と対応させます。
環境保全措置の記載
事業計画では、産業廃棄物の飛散・流出、悪臭、騒音などを防止するための措置も記載します。
具体的な対策は、取り扱う廃棄物や車両によって異なります。
飛散防止
- 荷台をシートで覆う
- 密閉容器を使用する
- 廃棄物を容器に収納して固定する
- 必要に応じて湿潤化する
流出防止
- 液体が漏れない密閉容器を使用する
- 容器の破損や劣化を運搬前に点検する
- 容器を荷台へ確実に固定する
- 性状の異なる廃棄物を混載しない
悪臭防止
- 蓋付きまたは密閉式の容器を使用する
- 長時間車両に積載したままにしない
- 運搬終了後に車両や容器を清掃する
単に「飛散・流出を防止する」と記載するだけでなく、使用する車両や容器に応じた具体的な方法を示すことが大切です。
石綿含有産業廃棄物などを運搬する場合
石綿含有産業廃棄物を取り扱う場合は、他の廃棄物と混合しないよう区分し、破砕しない方法で運搬できる計画が必要です。
申請する品目についても、石綿含有産業廃棄物を含むかどうかを明確にします。
また、水銀使用製品産業廃棄物や水銀含有ばいじん等を取り扱う場合も、その取扱いの有無を申請内容に反映させる必要があります。
通常の廃棄物と同じ方法で運搬できるとは限らないため、廃棄物の性状を確認したうえで、適切な容器と運搬方法を選定します。
積込場所と運搬先によって必要な許可を判断する
産業廃棄物収集運搬業許可は、原則として産業廃棄物を積み込む場所と、運搬先で荷下ろしをする場所を管轄する都道府県等で取得します。
例えば、宮城県内で積み込み、岩手県内の処分施設へ運搬する場合には、宮城県と岩手県の許可が必要になるのが基本です。
一方、途中で通過するだけの都道府県については、通常、収集運搬業許可は必要ありません。
なお、基本的には宮城県の収集運搬業許可で仙台市内の収集運搬も行えます。ただし、仙台市内で積替え保管を行う場合には、仙台市長の許可が必要です。
事業計画を作成する際は、予定する運搬経路だけでなく、実際に積込みと荷下ろしを行う地域を確認する必要があります。
事業計画と許可品目の関係
許可取得後に取り扱える産業廃棄物は、許可証に記載された事業の範囲に限られます。
事業開始後に、新たな産業廃棄物の種類を取り扱うことになった場合、現在の許可内容によっては「事業範囲変更許可申請」が必要です。
事後的な変更届だけでは品目を追加できません。
そのため、新規申請時には、現在予定している取引だけでなく、近い将来取り扱う可能性のある廃棄物についても確認しておくことが重要です。
ただし、具体的な取扱予定がなく、運搬方法や運搬先も説明できない品目まで形式的に申請することは適切ではありません。
事業の実態と将来計画の両方を踏まえ、必要な品目を整理します。
事業計画で起こりやすい不備
事業計画では、次のような不備に注意が必要です。
- 申請品目と実際に発生する廃棄物が一致していない
- 排出事業者や積込場所が整理されていない
- 運搬先が申請品目を処分できない
- 予定運搬量と車両の能力が合っていない
- 廃棄物の性状に適した容器が用意されていない
- 車両・容器と環境保全措置の記載が一致していない
- 石綿含有産業廃棄物などの取扱いが明確になっていない
- 積込場所や運搬先を管轄する自治体の許可が不足している
- 自社運搬と、他社から委託を受ける運搬が混同されている
これらの不備を防ぐには、申請書を作り始める前に、実際の業務の流れを整理することが有効です。
申請前に確認しておきたい事項
事業計画を作成する前に、次の情報を確認しておくと申請準備が進めやすくなります。
- 誰から運搬を委託されるのか
- どのような事業から廃棄物が発生するのか
- 何を運ぶのか
- どこで積み込むのか
- どの処分施設へ運ぶのか
- どの車両を使用するのか
- 運搬容器が必要か
- 1か月にどの程度運ぶ予定か
- 石綿や水銀を含む廃棄物を取り扱うか
- 積替え保管を行うか
- 宮城県以外の許可も必要か
まだ取引先や運搬先が完全に確定していなくても、申請可能かどうかを個別に検討できる場合があります。分かる範囲から整理しておくことが大切です。
あさぎ行政書士事務所のサポート
あさぎ行政書士事務所では、単にお客様から聞いた内容を申請書へ転記するのではなく、実際の事業内容を確認しながら事業計画を整理します。
- 許可が必要な運搬かどうかの確認
- 申請する産業廃棄物の品目整理
- 積込場所と運搬先の確認
- 必要な許可区域の整理
- 車両・運搬容器の適合性確認
- 予定運搬量の整理
- 環境保全措置の作成
- 申請書類一式の作成
- 行政庁への申請
- 申請後の補正対応
産業廃棄物処理業者での実務経験と技術的な知識を生かし、申請内容と実際の業務に食い違いが生じないようサポートします。
よくあるご質問(FAQ)
-
取引先がまだ決まっていなくても申請できますか?
-
申請先による確認は必要ですが、予定している事業内容、排出事業者の業種、取り扱う産業廃棄物、想定する運搬先などを具体的に説明できれば、申請を検討できる場合があります。
まずは、現在決まっている範囲で事業計画を整理します。
-
申請する品目は多い方がよいのでしょうか?
-
品目が多ければよいというものではありません。取り扱う予定があり、車両・容器・運搬先を含めた事業計画を説明できる品目を申請します。
将来の事業展開も考慮しながら、過不足のない品目を選ぶことが大切です。
-
運搬先の処分業者とは申請前に相談した方がよいですか?
-
取り扱う廃棄物を実際に受け入れられるか、事前に確認しておくことをおすすめします。
処分業者が持つ許可の品目だけでなく、廃棄物の性状や受入基準によって、受入れできない場合があります。
-
許可取得後に品目を追加できますか?
-
現在の許可証に含まれていない産業廃棄物を追加する場合は、原則として事業範囲変更許可申請が必要です。
変更許可を受ける前に、新しい品目の収集運搬を行うことはできません。
-
宮城県の許可があれば県外にも運べますか?
-
積込場所や荷下ろし場所が宮城県外にある場合は、その都道府県等の許可も必要になるのが基本です。
通過するだけの都道府県については、通常は許可を取得する必要はありません。
事業計画の作成から許可申請までご相談ください
産業廃棄物収集運搬業の事業計画は、許可申請書の一部分にすぎないように見えますが、申請する品目、車両、容器、運搬先、必要な許可区域を結び付ける重要な書類です。
「どの品目で申請すればよいか分からない」
「運搬先がまだ完全には決まっていない」
「宮城県以外の許可も必要なのか確認したい」
このような段階でもご相談いただけます。
現在予定している仕事内容、運搬する廃棄物、積込場所、運搬先、使用する車両などを、分かる範囲でお知らせください。
産業廃棄物収集運搬業許可の要件確認から、事業計画・申請書類の作成、行政庁への申請まで一括してサポートいたします。

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