産業廃棄物収集運搬業許可取得までの流れ|準備・申請・営業開始まで

産業廃棄物収集運搬業許可を取得したいと思っても、「何から始めればよいのか」「講習会と書類準備のどちらが先なのか」「いつから仕事を始められるのか」など、手続の全体像が分かりにくいことがあります。

産廃収集運搬業許可は、単に申請書へ会社情報を記入して提出する手続ではありません。

許可が必要な事業なのか、どの自治体の許可を取得するのか、講習会や車両などの要件を満たしているかを確認したうえで、実際の運搬計画に沿った申請書類を作成する必要があります。

このページでは、主に「積替え保管なし」の産業廃棄物収集運搬業許可について、準備開始から申請、審査、許可取得、営業開始までの流れを解説します。

申請から許可までにかかる期間を知りたい方は、「産廃収集運搬業許可は申請から何日かかる?」をご覧ください。

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結論|許可取得は7つの段階で進めます

産業廃棄物収集運搬業許可は、おおむね次の順番で進めます。

段階主な手続
1許可の必要性と申請先を確認する
2講習会と許可要件を確認する
3必要書類を収集する
4申請書・事業計画を作成する
5行政庁へ許可申請する
6審査・補正に対応する
7許可証を受け取り、営業を開始する

特に重要なのは、書類収集を始める前に「本当に許可が必要なのか」「どの自治体の許可が必要なのか」を整理することです。

必要な許可地域や取扱品目を誤ると、許可を取得しても予定していた仕事に使用できない可能性があります。

1.許可の必要性と申請先を確認する

産業廃棄物収集運搬業許可が必要か確認する

原則として、他人が排出した産業廃棄物の収集または運搬を業として受託する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。

例えば、次のようなケースが該当します。

  • 元請会社から依頼を受け、建設廃材を処分場へ運ぶ
  • 工場や店舗から排出された産業廃棄物を回収する
  • 解体工事で発生したがれき類や木くずを運搬する
  • 取引先が排出した廃プラスチック類や金属くずを運ぶ

一方、排出事業者が自ら排出した産業廃棄物を自社で運搬する「適正な自己運搬」であれば、通常は収集運搬業許可を必要としません。

ただし、建設工事では原則として元請業者が排出事業者となります。そのため、下請業者が自分で施工した工事の廃材を運ぶ場合でも、必ずしも自己運搬になるとは限りません。

契約関係や工事の元請・下請関係を確認して判断する必要があります。

どの都道府県の許可が必要か確認する

収集運搬業許可は、会社の本店所在地ではなく、主に産業廃棄物を積み込む場所と荷卸しする場所を基準に検討します。

例えば、宮城県内の工事現場で産業廃棄物を積み込み、山形県内の処分場へ運搬する場合は、原則として宮城県と山形県の両方の許可が必要です。

運搬途中に通過するだけの都道府県については、通常、収集運搬業許可を取得する必要はありません。

詳しくは、「産業廃棄物を県外へ運搬する場合に必要な許可」で解説しています。

宮城県・仙台市で申請する場合

宮城県内で積替え保管を行わずに産業廃棄物を収集運搬する場合は、基本的に宮城県知事の許可を検討します。

仙台市内で産業廃棄物を積み込んだり、仙台市内の処分場へ搬入したりする場合も、原則として宮城県知事の収集運搬業許可で対応できます。

ただし、仙台市内に積替え保管施設を設ける場合は、仙台市長への許可申請が必要です。

この取扱いは、仙台市の公式ページでも案内されています。

また、「許可を出す行政庁」と「申請書類の提出窓口」は分けて考える必要があります。

宮城県では、積替え保管を行わない収集運搬業について、2026年8月から一部の許可申請、2026年10月からすべての許可申請・変更届等を県庁廃棄物対策課で受け付ける運用へ段階的に変更しています。

申請時点の提出窓口については、宮城県の産業廃棄物収集運搬業公式ページで最新情報を確認する必要があります。

宮城県の申請先や手続全体については、「宮城県の産業廃棄物収集運搬業許可取得ガイド」もご覧ください。

2.講習会と許可要件を確認する

申請先を整理したら、産業廃棄物収集運搬業許可の要件を満たしているか確認します。

主な要件は次の5つです。

許可要件主な確認内容
講習会申請区分に対応した講習会を適切な方が修了しているか
車両・運搬容器運搬する産業廃棄物に適した車両や容器があるか
事業計画排出場所、運搬先、品目、運搬量などに具体性と整合性があるか
経理的基礎事業を継続できる財務状況があるか
欠格要件申請者、役員、一定の株主等が欠格要件に該当していないか

講習会は早めに申し込む

許可申請では、原則としてJWセンターが実施する講習会の修了証が必要です。

法人の場合は、代表者、役員、政令使用人などのうち、申請先が認める方が受講します。

講習会は希望する日程や会場が満席になることがあるため、許可取得を検討した段階で早めに日程を確認することが重要です。

ただし、講習会の修了証を取得しただけで、産業廃棄物収集運搬業を始められるわけではありません。講習会修了証は許可申請に必要な書類の一つであり、営業には行政庁の許可が必要です。

詳しくは、「産業廃棄物収集運搬業の講習会」をご覧ください。

車両・財務状況なども申請前に確認する

講習会と並行して、次の事項も確認します。

  • 車両の所有者・使用者
  • リース車や借用車の使用権限
  • 車両と運搬する廃棄物との適合性
  • 駐車場の使用権原
  • 赤字・債務超過の有無
  • 役員や株主等の欠格要件
  • 予定する排出事業者と処分場
  • 取り扱う産業廃棄物の種類

車両を購入した後や、新しい法人を設立した後に許可要件を満たさないことが判明すると、計画を変更しなければならない場合があります。

設備の購入や契約を先に進める前に、許可取得の見通しを確認しておくことが重要です。

許可要件全体については、「産業廃棄物収集運搬業許可の5つの要件」で詳しく解説しています。

3.必要書類を収集する

許可要件に問題がないことを確認したら、申請に必要な書類を収集します。

法人の新規申請では、一般的に次のような書類が必要です。

  • 履歴事項全部証明書
  • 定款
  • 役員等の住民票
  • 登記されていないことの証明書
  • 株主・出資者に関する資料
  • 直近の決算書類
  • 法人税の納税証明書
  • 車検証または自動車検査証記録事項
  • 車両・運搬容器の写真
  • 車両や駐車場の使用権限を確認する書類
  • 講習会修了証の写し

個人事業主の場合は、所得税の納税証明書や資産・負債に関する書類など、法人とは異なる資料が必要になります。

また、申請者の財務状況、車両の所有関係、役員や株主の人数などによって、追加資料を求められることがあります。

住民票、登記事項証明書、納税証明書などの公的証明書には、発行後の有効期間が定められている場合があります。早く取得しすぎると申請時に取り直しになるため、申請先の最新の手引きを確認してから収集します。

必要書類の詳細は、「産業廃棄物収集運搬業許可の必要書類一覧」をご確認ください。

4.申請書・事業計画を作成する

必要書類を集めながら、申請書と事業計画を作成します。

事業計画では、主に次の内容を整理します。

  • 取り扱う産業廃棄物の種類
  • 産業廃棄物が発生する工程
  • 予定する排出事業者
  • 積込み場所
  • 予定する処分場
  • 使用する運搬車両・運搬容器
  • 予定運搬量
  • 運搬方法
  • 飛散・流出・悪臭等を防止する方法

「将来使うかもしれない」という理由だけで、実際の事業計画にない品目を多く申請するのは適切ではありません。

例えば、申請する産業廃棄物の種類と、排出事業者の事業内容、発生工程、使用する車両・容器、予定処分場が一致している必要があります。

複数の都道府県へ申請する場合も、基本となる事業計画は共通しますが、自治体ごとに様式や必要書類、確認事項が異なります。

事業計画の作成方法は、「産業廃棄物収集運搬業許可の事業計画」で詳しく解説しています。

5.行政庁へ許可申請する

申請書類が完成したら、申請手数料の納付方法と提出窓口を確認し、行政庁へ申請します。

宮城県では、案内されている方法に従って申請手数料を納付し、申請書類一式を郵送または予約のうえ窓口へ持参します。

郵送の場合は、書類を発送した日ではなく、所管窓口に到着した日が申請日となります。土日・祝日などの閉庁日に到着した場合は、翌営業日が申請日となるため、更新期限などがある申請では注意が必要です。

また、書類や申請手数料に不足があると、申請が受理されない可能性があります。

申請書を発送または持参する前に、次の事項を確認します。

  • 申請書の記載漏れがないか
  • 必要な添付書類がそろっているか
  • 公的証明書の有効期間に問題がないか
  • 車両情報と車検証の内容が一致しているか
  • 講習会修了証が申請区分に対応しているか
  • 事業計画と申請品目に矛盾がないか
  • 申請手数料の納付方法に誤りがないか
  • 正しい提出窓口へ送付しているか

申請費用と行政書士報酬については、「産業廃棄物収集運搬業許可の費用」をご覧ください。

6.行政庁の審査・補正に対応する

申請が受理されると、行政庁による審査が始まります。

宮城県における産業廃棄物収集運搬業許可の標準処理期間は、土日・祝日および補正期間を除く60営業日で、暦の日数ではおおむね3か月です。

審査では、主に次のような内容が確認されます。

  • 講習会修了証の有効性
  • 車両・運搬容器の使用権限と適合性
  • 申請品目と事業計画の整合性
  • 排出場所と予定運搬先
  • 法人の役員、株主、政令使用人等
  • 欠格要件への該当の有無
  • 決算内容と経理的基礎
  • 納税状況
  • 申請書と添付書類の整合性

書類の不足や記載内容に確認が必要な場合は、行政庁から補正や追加資料の提出を求められることがあります。

補正に要した期間は標準処理期間に含まれないため、対応が遅れると許可証の交付も遅くなる可能性があります。

なお、新規申請では、申請書が受理されただけで産業廃棄物の収集運搬を始めることはできません。許可を受ける前に、他人の産業廃棄物を受託して運搬しないよう注意が必要です。

準備期間を含めた詳しい日数は、「宮城県の標準処理期間と準備期間」をご確認ください。

7.許可証を受け取り、営業を開始する

審査が完了し、許可要件を満たしていると認められると、許可証が交付されます。

許可証を受け取ったら、次の内容を確認します。

  • 許可番号
  • 許可年月日
  • 許可の有効期限
  • 取り扱うことができる産業廃棄物の種類
  • 石綿含有産業廃棄物等に関する限定
  • 積替え保管の有無
  • 許可を受けた行政庁

複数の都道府県へ申請している場合は、許可証の交付時期が同じになるとは限りません。

実際の運搬で必要となるすべての地域の許可がそろっているか確認してから、業務を開始します。

また、営業開始前には次の準備も必要です。

  • 運搬車両への法定表示
  • 許可証の写しなど必要書類の車両への備付け
  • 排出事業者との産業廃棄物処理委託契約
  • 紙または電子マニフェストの運用準備
  • 許可品目と受託する廃棄物の照合
  • 運搬先処分業者の許可内容の確認

許可証を取得しても、許可を受けていない産業廃棄物を運ぶことはできません。実際に受託する廃棄物と許可証の品目を必ず照合しましょう。

許可取得後も更新・変更手続が必要です

産業廃棄物収集運搬業許可は、取得して終わりではありません。

許可取得後に、次のような変更があった場合は手続が必要になることがあります。

  • 運搬車両を増車・減車した
  • 役員や一定の株主が変わった
  • 商号や本店所在地を変更した
  • 駐車場を変更した
  • 政令使用人を変更した
  • 取り扱う産業廃棄物の種類を追加したい
  • 新たに積替え保管を始めたい

車両、役員、商号、本店所在地などの変更は、原則として変更届の対象です。

一方、取り扱う産業廃棄物の種類の追加や、積替え保管の追加などは、事前の事業範囲変更許可申請が必要になる場合があります。

詳しくは、次のページをご覧ください。

許可の有効期間は原則として5年間です。更新期限を過ぎると許可が失効するため、許可証の有効年月日も継続して管理する必要があります。

あさぎ行政書士事務所の申請サポート

あさぎ行政書士事務所では、申請書を作成する前の段階から、産業廃棄物収集運搬業許可の取得をサポートしています。

段階主なサポート内容
事前相談許可の必要性、必要な許可地域、取得時期を確認します
要件確認講習会、車両、財務状況、欠格要件を確認します
書類準備お客様にご用意いただく書類を一覧でご案内します
申請書作成取扱品目、排出場所、運搬先、車両等を整理して作成します
行政庁への申請宮城県をはじめ、各申請先の運用に沿って手続します
審査中行政庁からの照会、補正、追加資料へ対応します
許可取得後許可内容、車両表示、変更届、更新についてご案内します

「元請会社から急に許可取得を求められた」「どの県の許可が必要なのか分からない」「講習会をまだ受けていない」という段階でもご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

講習会を受ける前でも相談できますか?

はい。講習会をまだ申し込んでいない段階でもご相談いただけます。

申請区分や受講者を確認したうえで、講習会と並行して車両、財務状況、必要書類などの準備を進めます。

車両を購入する前でも相談できますか?

相談できます。

運搬する産業廃棄物に適した車両か、車両の所有者・使用者、リース契約、駐車場などを事前に確認できます。購入後に申請で使用できないことが判明しないよう、契約前の確認をおすすめします。

車両1台でも許可を取得できますか?

車両が1台であることだけを理由に許可を取得できないわけではありません。

運搬する産業廃棄物に適した車両であり、継続して使用できる権限や駐車場所などの要件を満たしているかを確認します。

申請中に収集運搬の仕事を始められますか?

新規申請の場合は、許可を受ける前に、許可が必要な産業廃棄物の収集運搬を始めることはできません。

営業開始日や元請会社との取引開始日から逆算し、十分な余裕を持って申請する必要があります。

宮城県の許可があれば仙台市内でも運搬できますか?

積替え保管を行わない場合は、基本的に宮城県知事の許可で仙台市内の収集運搬にも対応できます。

ただし、仙台市内で積替え保管を行う場合は、仙台市長の許可が必要です。

申請から許可までどのくらいかかりますか?

宮城県の標準処理期間は、土日・祝日および補正期間を除く60営業日です。

講習会の受講や書類収集などの申請前準備も必要になるため、許可が必要となる時期から逆算して早めに準備を始めることをおすすめします。

まとめ|申請書を作る前の確認が重要です

産業廃棄物収集運搬業許可は、次の順番で進めます。

  1. 許可の必要性と申請先を確認する
  2. 講習会と許可要件を確認する
  3. 必要書類を収集する
  4. 申請書・事業計画を作成する
  5. 行政庁へ申請する
  6. 審査・補正に対応する
  7. 許可証を受け取り、営業準備を行う

最初の段階で許可の必要性、申請地域、取扱品目、車両、財務状況を確認しておくことが、手続を円滑に進めるポイントです。

「許可が必要か分からない」「どの県へ申請すればよいか分からない」という段階でも構いません。現在予定している仕事の内容をお知らせください。

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