産業廃棄物収集運搬業許可の車両要件

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するには、運搬する産業廃棄物の種類や性状に適した車両・運搬容器を用意しなければなりません。

単にトラックを所有しているだけでは足りず、次のような点が審査されます。

  • 運搬する産業廃棄物に適した車両か
  • 飛散・流出・悪臭を防止できるか
  • 申請者に車両を使用する権限があるか
  • 車検証の有効期間が切れていないか
  • 車両写真や添付書類に不備がないか

ダンプ、軽トラック、バン、キャブオーバーなど、車両の種類だけで許可の可否が決まるわけではありません。

重要なのは、運搬する産業廃棄物の種類・性状・運搬量に対して、その車両や容器が適していることです。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業許可に必要な車両の条件を、宮城県・仙台市での申請実務も踏まえて解説します。

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産業廃棄物収集運搬業許可の車両要件とは

産業廃棄物収集運搬業許可では、申請者が事業を適切かつ継続的に行える施設を有していることが求められます。

収集運搬業における主な施設が、運搬車両と運搬容器です。

車両には、主に次の条件が求められます。

  • 産業廃棄物が飛散・流出しないこと
  • 悪臭が漏れるおれるそれがないこと
  • 運搬する産業廃棄物の性状に適していること
  • 申請者が継続して使用できること
  • 道路運送車両法などの関係法令に適合していること
  • 他の事業者との重複登録など、自治体が認めていない使用状態でないこと

申請予定の車両がこれらの条件を満たすかどうかは、車検証、車両写真、使用承諾書、賃貸借契約書などによって確認されます。

ダンプ・軽トラック・バンでも許可を取得できる?

産業廃棄物収集運搬業許可で使用できる車両は、大型トラックに限定されません。

運搬する産業廃棄物に適していれば、次のような車両も申請できます。

  • ダンプ
  • 脱着装置付コンテナ専用車
  • キャブオーバー
  • 軽トラック
  • バン
  • 塵芥車
  • 清掃車
  • タンク車

例えば、建設現場から排出されるがれき類や木くずを運搬する場合は、ダンプや脱着装置付コンテナ専用車が多く使用されます。

少量の廃プラスチック類、金属くず、廃家電などを運ぶ事業であれば、軽トラックやバンを使用できる場合があります。

ただし、軽トラックで許可を取得できるからといって、すべての産業廃棄物を運搬できるわけではありません。積載量、荷台の構造、運搬容器、飛散・流出防止方法まで含めて判断されます。

廃棄物の種類に適した車両・容器が必要

車両要件で特に重要なのが、産業廃棄物の性状に応じた飛散・流出防止措置です。

廃棄物・運搬方法主な確認点
がれき類をダンプで運搬荷台シートなどで飛散・落下を防止する
木くず・廃プラスチック類シートやネットを使用し、風による飛散を防止する
汚泥水密性のある容器や車両を使用し、流出を防止する
廃油密閉可能な容器を使用し、転倒・漏えいを防止する
廃酸・廃アルカリ内容物に適した耐食性の容器を使用する
ドラム缶・コンテナ容器の材質、密閉性、固定方法を確認する
石綿含有産業廃棄物破砕せず、他の廃棄物と区分し、飛散を防止する
水銀使用製品産業廃棄物破損を防止できる容器に収納する

許可申請書には、予定している運搬方法や飛散・流出防止措置を具体的に記載します。

「シートを使用する」「密閉容器に収納する」と記載する場合は、実際に使用するシート、ドラム缶、フレコンバッグ、コンテナなども運搬容器として申請書に記載する必要があります。

車両の所有者と使用権限

申請者が車両の所有者である場合は、通常、車検証によって使用権限を確認できます。

一方、車検証の所有者または使用者が申請者と異なる場合は、申請者がその車両を継続して使用できることを証明する書類が必要です。

主に次のような書類が使用されます。

  • 車両の賃貸借契約書
  • リース契約書
  • 使用貸借契約書
  • 車両使用承諾書

車検証に記載された所有者から申請者まで、車両を使用する権利関係がつながっていることが重要です。

口頭で借りる約束をしているだけでは、使用権限を証明できません。

代表者個人名義の車両は使用できる?

法人申請で、代表取締役個人名義の車両を使用する場合があります。

この場合も、法人と代表者は法律上別の主体であるため、代表者から申請法人への使用承諾書や契約書を求められることがあります。

「代表者の車だから、そのまま法人で使用できる」とは限りません。

また、家族、従業員、関連会社などの名義になっている車両についても、所有者から申請者への使用権限を明確にする必要があります。

リース車・借用車でも申請できる?

リース車や借用車であっても、直ちに申請できないわけではありません。

申請者が許可期間中、継続して車両を使用できることを契約書などで証明できれば、申請車両として認められる可能性があります。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 契約期間が極端に短くないか
  • 産業廃棄物の運搬への使用が認められているか
  • 転貸が禁止されていないか
  • 所有者から申請者までの権利関係を確認できるか
  • 他の収集運搬業者と重複して登録されていないか

自治体によって提出書類や取扱いが異なる場合があるため、契約前に申請先へ確認することをおすすめします。

車検証で確認されるポイント

許可申請では、主に次の事項を車検証で確認します。

  • 登録番号
  • 車台番号
  • 所有者
  • 使用者
  • 自動車の種別
  • 用途
  • 車体の形状
  • 最大積載量
  • 車検の有効期間

電子車検証の場合、券面だけでは所有者や有効期間などの情報をすべて確認できないことがあります。

そのため、電子車検証とともに「自動車検査証記録事項」の提出を求められる場合があります。

また、申請中に車検の有効期間が満了する車両については、更新後の車検証を追加提出する必要が生じることがあります。

車両写真の撮影方法

車両写真は、申請車両を特定し、車体の形状やナンバープレートを確認するための重要な書類です。

一般的には、次のように撮影します。

  • 車両全体が写真内に収まっている
  • 前方または斜め前方から撮影する
  • 後方または斜め後方から撮影する
  • ナンバープレートの番号を確認できる
  • 荷台や車体の形状が分かる
  • 写真が暗すぎたり、不鮮明になったりしていない
  • 他の車両と重なっていない
  • 申請する車両と写真の車両が一致している

自治体によっては斜め前方・斜め後方など、撮影方向が指定されています。

車両写真の撮影後にナンバーや車両を変更した場合は、申請書類との不一致が生じるため注意が必要です。

運搬容器の写真も必要になる

ドラム缶、フレコンバッグ、コンテナ、ポリ容器などを使用する場合は、車両だけでなく運搬容器の写真や一覧表を求められることがあります。

写真から、次の事項を確認できるようにします。

  • 容器全体の形状
  • ふたや密閉部分
  • 容器の材質
  • 容器の数量
  • 車両への積載方法
  • 転倒・落下を防止する方法

容器を使用する予定で申請書に記載しているのに、容器の写真がない場合は、補正を求められる可能性があります。

産業廃棄物収集運搬車の表示義務

産業廃棄物を運搬する車両には、産業廃棄物収集運搬車であることを表示しなければなりません。

産業廃棄物収集運搬業者の場合は、車体の外側の両側面に、次の事項を表示します。

  • 「産業廃棄物収集運搬車」という表示
  • 事業者の氏名または名称
  • 許可番号

許可番号は下6桁を表示します。下6桁以上を表示することも可能です。

文字の大きさは、次の基準を満たす必要があります。

  • 「産業廃棄物収集運搬車」:約5cm以上
  • 氏名・名称、許可番号:それぞれ約3cm以上

文字は、車体の色と識別しやすい色を使用し、鮮明に表示します。

車体への直接塗装だけでなく、マグネットシートを使用することもできます。ただし、走行中に外れないよう確実に取り付けなければなりません。

なお、この表示は許可申請のためだけのものではなく、実際に産業廃棄物を運搬するときに必要となる表示です。

運搬時に車載する書類

産業廃棄物収集運搬業者が産業廃棄物を運搬するときは、車両に所定の書類を備え付けなければなりません。

紙マニフェストを使用する場合は、原則として次の書類を車載します。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可証の写し
  • 紙マニフェスト

電子マニフェストを使用する場合は、原則として次の書類または情報が必要です。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可証の写し
  • 電子マニフェストの加入証
  • 運搬する産業廃棄物の種類・数量、委託者、積載場所、運搬先などを確認できる書面または電磁的記録

必要な情報を通信機器によって常時確認できる場合は、一部書面を省略できる場合があります。

許可証の原本を車内に置く必要はありません。紛失を防ぐためにも、車載するのは許可証の写しとします。

許可取得後に車両を追加・入れ替えた場合

許可取得後に、運搬車両を追加・廃止・入れ替えた場合は、変更届が必要になります。

例えば、次のような場合です。

  • 新しい車両を購入した
  • リース車両を追加した
  • 古い車両を廃止した
  • 車両のナンバーが変わった
  • 車両を買い替えた
  • 登録している運搬容器を変更した

「同じ種類のダンプに買い替えただけ」という場合でも、登録番号や車台番号が変われば別の車両です。

変更届を提出しないまま新しい車両で産業廃棄物を運搬すると、行政指導などの対象になる可能性があります。

変更後は、速やかに管轄自治体へ届出を行いましょう。

申請時によく指摘される車両の不備・注意点

車両関係では、次のような不備が多く見られます。

  • 車検の有効期間が切れている
  • 車検証の名義が申請者と異なる
  • 使用承諾書や契約書がない
  • 契約書から車両を特定できない
  • 車検証の所有者から申請者までの権利関係がつながらない
  • 車両写真からナンバープレートを確認できない
  • 申請書と車両写真の登録番号が一致しない
  • 運搬する廃棄物に対して車両や容器が適していない
  • 飛散・流出防止方法の記載が具体的でない
  • 使用予定の運搬容器が申請書に記載されていない
  • 既に他の事業者が登録している車両と重複している

これらは直ちに不許可になるというより、申請前の修正や申請後の補正を求められるケースが中心です。

ただし、適切な車両を用意できない場合や、車両の使用権限を証明できない場合は、許可要件を満たせない可能性があります。

宮城県・仙台市で申請する場合の注意点

平成23年4月の制度改正により、宮城県の産業廃棄物収集運搬業許可を取得すれば、原則として仙台市内でも収集運搬を行うことができます。

事業内容原則的な申請先
積替え保管をせず、宮城県内で収集運搬する宮城県
仙台市内の排出現場・処分場に出入りするだけ宮城県
申請者の本店が仙台市内にあるが、積替え保管はしない宮城県
仙台市内に積替え保管施設を設置する仙台市
仙台市外の宮城県内に積替え保管施設を設置する宮城県

そのため、仙台市内に本店や営業所がある事業者であっても、積替え保管を行わない通常の収集運搬業については、基本的に宮城県へ申請します。

排出事業場や処分場が仙台市内にあるというだけで、宮城県と仙台市の両方の許可を取得する必要はありません。

ただし、仙台市内に積替え保管施設を設置して収集運搬業を行う場合は、仙台市長の許可が必要です。

申請先は事業者の所在地だけで決まるものではなく、積替え保管の有無とその施設の所在地によって判断する必要があります。

また、宮城県外で産業廃棄物を積み込んだり、宮城県外の処分場へ搬入したりする場合は、原則として、その都道府県の収集運搬業許可も必要です。

よくある質問(FAQ)

軽トラック1台でも許可を取得できますか?

運搬する産業廃棄物の種類・量に適し、飛散・流出防止措置を講じられる車両であれば、軽トラック1台でも許可を取得できる可能性があります。

ただし、予定している事業内容に対して車両の積載量や構造が適しているか、個別に判断する必要があります。

車両を所有していなければ申請できませんか?

必ずしも自社所有である必要はありません。リース車や借用車でも、申請者が継続して使用できることを契約書や使用承諾書で証明できれば、使用できる場合があります。

代表者個人名義の車両を法人で使用できますか?

使用できる場合があります。ただし、法人と代表者個人は別の主体であるため、代表者から法人への使用承諾書などを求められることがあります。

車両表示は許可申請前から必要ですか?

表示義務は、実際に産業廃棄物を運搬するときに生じます。申請時の車両写真に表示が必要かどうかは自治体によって取扱いが異なる場合があるため、申請先の手引きを確認してください。

許可取得後に別の車両を使ってもよいですか?

新しい車両を追加・入れ替える場合は、変更届を提出する必要があります。登録していない車両をそのまま業務に使用することは避けてください。

白ナンバーでも産業廃棄物を運搬できますか?

産業廃棄物収集運搬業許可の車両要件と、貨物自動車運送事業法上の取扱いは別の問題です。

運送の契約形態や対価の受け取り方によっては、緑ナンバーが必要となる可能性があります。事業内容に応じて、運輸支局や専門家への確認が必要です。

車両を購入・契約する前にご相談ください

産業廃棄物収集運搬業許可では、車両の大きさや台数だけでなく、運搬する廃棄物との適合性、名義、使用権限、運搬容器、保管場所などを総合的に確認します。

許可申請を急いで車両を購入したものの、予定している産業廃棄物の運搬に適さない、名義関係を証明できない、他社と重複登録されているといった問題が発生することもあります。

あさぎ行政書士事務所では、宮城県・仙台市の産業廃棄物収集運搬業許可について、申請予定の車両や運搬容器が要件を満たすか事前に確認しています。

「このダンプで申請できるか」「軽トラックでも許可を取れるか」「代表者名義やリース車でも問題ないか」といった段階からご相談いただけます。

申請車両の選定や必要書類でお困りの方は、お問い合わせください。

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