ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずとは?具体例と許可品目

産業廃棄物の許可証を見ると、
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」
という長い品目名が出てきます。
実務では、
「ガラスくず等」
「ガラ陶」
などと略して呼ばれることもあります。
しかし、
「ガラスだけの品目?」
「コンクリートなら、がれき類ではないの?」
「タイルや石膏ボードはここに入る?」
と、具体的にどの廃棄物が該当するのか分かりにくい品目でもあります。
特に注意したいのが、「コンクリートくず」と「がれき類」の違いです。
同じように見えるコンクリート片でも、どのような工程から発生したのかによって産業廃棄物の品目が変わることがあります。
また、廃石膏ボードのように、この品目に分類されながら、通常のガラスくずなどと同じ方法では処分できない廃棄物もあります。
この記事では、産廃業界での実務経験を持つ行政書士が、
- ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずとは何か
- 具体的にどのような廃棄物が該当するのか
- がれき類との違い
- タイル・れんが・石膏ボードの扱い
- 石綿・水銀などが関係する場合の注意点
- 収集運搬業者・処分業者の許可証で確認するポイント
について分かりやすく解説します。
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」とは?
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」は、廃棄物処理法で定められている産業廃棄物20種類の一つです。
名前のとおり、
- ガラスくず
- コンクリートくず
- 陶磁器くず
などが含まれます。
環境省の通知では、具体例として、
- ガラスくず
- 耐火れんがくず
- コンクリートくず
- 陶磁器くず
などが挙げられています。
宮城県の最新の手引きでは、さらに、
- ガラス
- 陶磁器
- れんが
- 石膏ボード等のくず
- 工作物の新築・改築・除去に伴って生じたものを除くコンクリートくず
などが具体例として示されています。
排出する業種に限定はない
この品目には、木くずや紙くずなどにあるような排出業種の限定はありません。
つまり、事業活動に伴って発生したものであれば、
- 製造業
- 建設業
- 店舗
- オフィス
- 病院
- その他の事業所
など、どのような業種から発生した場合でも、この品目に該当することがあります。
例えばオフィスで使用していたガラス製品が破損して不要になった場合でも、事業活動に伴って排出されたものであれば産業廃棄物として扱われることがあります。
ガラスくずの具体例
まず分かりやすいのがガラス製品です。
例えば、
- 板ガラス
- ガラス瓶
- ガラス製容器
- 窓ガラス
- ガラス製品の製造端材
- ガラス製品の不良品
などがあります。
ただし、実際の製品はガラスだけでできているとは限りません。
例えば、金属枠の付いた窓ガラスであれば、
ガラスくず等+金属くず
という複数種類の産業廃棄物として考える場合があります。
廃棄物の材質と、どのような状態で排出するのかを確認することが重要です。
陶磁器くずの具体例
陶磁器製品が事業活動に伴って不要になった場合も、この品目に該当します。
例えば、
- 陶器
- 磁器
- 食器
- タイル
- 衛生陶器
- 瓦の製造くず
- 陶磁器製品の不良品
などがあります。
店舗や飲食店で大量に不要になった陶磁器製食器なども、事業活動から発生した産業廃棄物として処理する場合があります。
タイルは「がれき類」ではない?
建物の解体工事でタイルが発生すると、
「建設現場から出た硬い破片だから、がれき類では?」
と思うかもしれません。
しかし、タイルそのものは陶磁器製品であるため、一般に「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として取り扱われます。
建設現場から発生したものだからといって、すべてが「がれき類」になるわけではありません。
建設・解体工事からは、
- がれき類
- 木くず
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- ガラスくず等
- 石膏ボード
など、複数種類の産業廃棄物が発生します。
それぞれを適切に分類する必要があります。
「コンクリートくず」と「がれき類」は何が違う?
ここが最も間違えやすいポイントです。
産業廃棄物には、
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」
とは別に、
「がれき類」
があります。
両方にコンクリートが関係するため混同されやすいのですが、基本的な違いは発生原因です。
工作物の新築・改築・除去から発生したコンクリート
例えば、
- 建物解体で発生したコンクリートがら
- 改修工事ではつったコンクリート
- 工作物の新築工事に伴って発生したコンクリート破片
などです。
これらは原則として、
がれき類
になります。
コンクリート製品の製造工程などから発生したもの
例えば、
- コンクリートブロック製造時の不良品
- コンクリート二次製品の製造端材
- 工場で発生した規格外コンクリート製品
などです。
工作物の新築・改築・除去そのものから発生したものではないため、
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
に該当します。
つまり、
同じコンクリートでも、発生した工程によって品目が違う
ということです。
この違いについては、がれき類とは?コンクリートくずとの違いを分かりやすく解説で詳しく解説しています。
コンクリート製品の製造不良品は「コンクリートくず」
コンクリートくずが現在の品目名に明確に入っている背景には、コンクリート製品の製造工程から出る不良品などの取扱いがあります。
例えば工場で、
- コンクリートブロック
- U字溝
- コンクリート管
- その他のコンクリート二次製品
を製造しているとします。
製造途中で割れたり、規格外になったりして不要になった製品は、工作物を壊した結果として生じたものではありません。
このようなものが「コンクリートくず」の代表例です。
「コンクリート製だから全部がれき類」と考えないことが重要です。
れんがはどちらに入る?
れんがも、発生状況によって注意が必要です。
例えば、製造工程から発生する耐火れんがくずなどは、
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
に含まれます。
一方、工作物の新築・改築・除去に伴って発生したれんが破片については、がれき類として扱われる場合があります。
つまり、れんがについても、
「何でできているか」だけでなく、「どのように発生したのか」
を確認する必要があります。
石膏ボードもこの品目に入る
意外に思われるかもしれませんが、廃石膏ボードも一般に、
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
として扱われます。
例えば、建築物の解体・改修工事から発生した石膏ボードです。
ただし、ここで非常に重要な注意点があります。
廃石膏ボードは、同じ品目に分類されるガラスくずなどと同じように安定型最終処分場へ埋め立てることはできません。
廃石膏ボードを埋め立てると、条件によっては硫化水素が発生するおそれがあるためです。
つまり、
「ガラスくず等という許可品目に入る」ことと、「同じ処分方法が使える」ことは別
です。
廃石膏ボードについては、石膏ボードは何の産業廃棄物?収集運搬・処分するときの注意点で詳しく解説しています。
蛍光灯もガラスくずだけでは考えない
使用済み蛍光ランプにはガラスが使われています。
しかし、蛍光ランプは、
- ガラス
- 金属
- プラスチック部品
などから構成されるほか、水銀が使用されています。
そのため、単に「ガラスくずだから」と判断するのではなく、水銀使用製品産業廃棄物としての取扱いも必要です。
収集運搬業者・処分業者の許可証でも、
「水銀使用製品産業廃棄物を含む」
かどうかを確認する必要があります。
蛍光ランプについては、蛍光灯は何の産業廃棄物?水銀使用製品産業廃棄物の処理方法を解説をご覧ください。
石綿を含むものにも注意
この品目には、石綿含有産業廃棄物が含まれる場合もあります。
宮城県では、石綿含有産業廃棄物が関係する品目として、
- 汚泥
- 廃プラスチック類
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
の4種類を挙げています。
そのため、収集運搬業者が、
「ガラスくず等」の許可を持っている
というだけでは、石綿を含むものまで当然に取り扱えるとは限りません。
許可証で、
「石綿含有産業廃棄物を含む」
または、
「石綿含有産業廃棄物を除く」
といった記載を確認する必要があります。
石綿含有産業廃棄物については、石綿含有産業廃棄物とは?廃石綿等との違いと収集運搬の注意点で詳しく解説しています。
「ガラスくず等」なら全部、安定型最終処分場へ入れられる?
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」は、一定のものについては安定型産業廃棄物に含まれます。
そのため、
「この品目なら全部、安定型最終処分場へ持っていけばよい」
と思うかもしれません。
しかし、これは正しくありません。
例えば先ほど説明した廃石膏ボードは、同じ品目に分類されますが、安定型最終処分場へ埋立処分することはできません。
また、
- 有害物質が付着している
- 他の管理型廃棄物が混入している
- 石綿を含んでいる
- 水銀使用製品に該当する
などの場合には、それぞれの廃棄物に応じた処理が必要です。
したがって、
「許可品目」だけではなく、「実際の廃棄物の性状」まで確認すること
が重要です。
建設混合廃棄物に含まれている場合
建設・解体工事では、
- ガラス
- タイル
- 石膏ボード
- コンクリートがら
- 木くず
- 金属くず
- 廃プラスチック類
などが一緒になってしまうことがあります。
このような場合は、単純な「ガラスくず等」ではなく、複数種類の産業廃棄物からなる建設混合廃棄物として考える必要があります。
例えば、
ガラスくず等+がれき類+木くず+廃プラスチック類
が混ざっているのであれば、処理を委託する業者について、それぞれ必要な許可品目を確認します。
建設混合廃棄物については、建設混合廃棄物とは?許可品目・分別・処理委託の注意点をご覧ください。
収集運搬業者の許可証で確認するポイント
ガラスくず等を収集運搬業者へ委託するときには、許可証で少なくとも次の点を確認します。
- 「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」が事業範囲に入っている
- 必要な地域の収集運搬業許可がある
- 許可期限が有効である
- 石綿含有産業廃棄物の取扱いに問題がない
- 水銀使用製品産業廃棄物を扱う場合は、その取扱いが認められている
- 積替え保管を行う場合は、その品目について積替え保管が認められている
単に、
「産業廃棄物収集運搬業許可あり」
というだけでは不十分です。
今回委託する具体的な廃棄物が、許可の事業範囲に入っているか確認する必要があります。
処理業者の許可証の見方については、産廃業者の許可証はどこを見る?許可品目・期限・積替え保管の確認方法で詳しく解説しています。
宮城県では許可申請時の追加確認事項もある
宮城県では、
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」
を取り扱う場合、許可申請時にいくつか追加で確認する項目があります。
例えば、
石綿含有産業廃棄物の取扱いの有無
を明らかにする必要があります。
また、
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
の3品目すべてを取り扱う場合には、自動車等破砕物の取扱いの有無についても記載します。
さらに水銀使用製品産業廃棄物を取り扱う場合には、その旨を許可内容に反映する必要があります。
つまり、同じ「ガラスくず等」の許可でも、どこまで取り扱えるかは許可内容によって異なるということです。
処分業者は品目だけでなく「処分方法」も確認する
処分業者へ委託する場合には、さらに注意が必要です。
例えば、
- ガラスくずの破砕
- コンクリートくずの破砕
- 陶磁器くずの破砕
- 廃石膏ボードの破砕・選別
など、実際の処理方法によって必要な許可内容が異なります。
処分業者が「ガラスくず等」を事業範囲に含んでいても、
今回委託したい処分方法まで許可されているとは限りません。
したがって、
許可品目+処分方法+処理施設
をセットで確認することが大切です。
産業廃棄物処分業については、産業廃棄物処分業許可でも解説しています。
委託契約書にも正しい品目を記載する
処理業者へ委託する場合には、産業廃棄物処理委託契約書にも実際の廃棄物を正しく反映します。
例えば、
コンクリート製品工場から出た規格外コンクリート製品
であれば、
「がれき類」
ではなく、
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」
として扱うことになります。
反対に、建築物の解体工事から発生したコンクリートがらを、理由なく「コンクリートくず」として契約するのも適切ではありません。
重要なのは、
実際の廃棄物
=処理業者の許可品目
=委託契約書
=マニフェスト
を一致させることです。
委託契約書については、産業廃棄物処理委託契約書とは|法定記載事項・二者契約・保存期間を解説で詳しく解説しています。
よくある間違い
「建設現場から出たものは全部がれき類」
ガラス、タイル、石膏ボードなどは、建設現場から発生した場合でも、すべてががれき類になるわけではありません。
「コンクリートなら全部がれき類」
コンクリート製品の製造工程から発生した不良品などは、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずに該当します。
「ガラスくず等の許可があれば石膏ボードも同じように処分できる」
許可品目が同じでも、廃石膏ボードには特別な処分上の注意があります。
「ガラスだから蛍光灯も普通のガラスくず」
蛍光ランプは水銀使用製品産業廃棄物にも該当します。
「品目が合っていれば処分方法は何でもよい」
処分業では、品目だけでなく、破砕・選別など実際の処分方法が許可されているか確認する必要があります。
処理を委託するときのチェックリスト
廃棄物の確認
□ ガラス・コンクリート・陶磁器等のどれに該当するか確認した
□ コンクリートの場合、どの工程から発生したか確認した
□ がれき類との区別を確認した
□ 石膏ボードが含まれていないか確認した
□ 石綿や水銀など特別な取扱いが必要ではないか確認した
収集運搬業者
□ ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずの許可がある
□ 必要な地域の許可がある
□ 許可期限が有効である
□ 石綿含有産業廃棄物の取扱いを確認した
□ 水銀使用製品産業廃棄物が関係する場合は許可内容を確認した
処分業者
□ 対象品目を取り扱える
□ 実際の処分方法が許可されている
□ 処理施設で受け入れ可能である
□ 特殊な廃棄物は適切な処理ルートになっている
契約・マニフェスト
□ 委託契約書の品目が正しい
□ 許可証と契約内容が一致している
□ マニフェストに実際の廃棄物を反映している
□ 処理終了まで確認している
産業廃棄物の種類をもっと詳しく見る
産業廃棄物は、品目によって許可の範囲や処理方法、一般廃棄物との区分などが異なります。
まず全体像を確認したい方は、産業廃棄物20種類とは?品目一覧と判断方法をご覧ください。
個別の品目については、以下の記事で詳しく解説しています。
- 廃プラスチック類とは?具体例と産廃処理で注意するポイント
- がれき類とは?コンクリートくずとの違いを分かりやすく解説
- ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずとは?具体例と許可品目
- 木くずはすべて産業廃棄物?業種指定と建設工事の木くずを解説
- 紙くずは産業廃棄物になる?事業系一般廃棄物との違い
- 繊維くずは産業廃棄物になる?建設工事で発生する場合の考え方
- 金属くずとは?スクラップとの違いと有価物になる場合の考え方
- 廃油とは?産業廃棄物になる油と特別管理産業廃棄物になる油
- 汚泥とは?産業廃棄物としての判断が難しい理由を解説
- 廃石膏ボードの処理方法|管理型最終処分場・リサイクル時の注意点
まとめ|名前が長いだけでなく、分類にも注意が必要な品目
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」は、産業廃棄物20種類の一つです。
代表的なものとして、
・ガラスくず
・陶磁器くず
・タイル
・耐火れんがくず
・廃石膏ボード
・工作物の新築・改築・除去によらないコンクリートくず
などがあります。
特に重要なのが、コンクリートくずとがれき類の違いです。
同じコンクリートでも、
工作物の新築・改築・除去に伴って発生
→ がれき類
コンクリート製品の製造工程などから発生
→ ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
という違いがあります。
また、この品目に該当するからといって、すべてを同じ方法で処分できるわけではありません。
廃石膏ボード、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物などは、それぞれ追加の注意が必要です。
そのため処理を委託するときには、
「品目名だけを見る」のではなく、実際の廃棄物の性状・発生工程・処分方法まで確認する
ことが重要です。
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あさぎ行政書士事務所では、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請だけでなく、
- ガラスくず等・がれき類などの許可品目の確認
- 処理業者の許可証確認
- 産業廃棄物処理委託契約書の確認
- マニフェスト運用の確認
- 建設・製造業者向けの産廃実務相談
にも対応しています。
「この廃棄物はガラスくず等でよいのか分からない」
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「現在の処理業者の許可で扱えるか確認したい」
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