蛍光灯は何の産業廃棄物?水銀使用製品産業廃棄物の処理方法を解説

オフィスや工場、店舗などで蛍光灯をLED照明へ交換すると、大量の使用済み蛍光ランプが発生することがあります。
このとき、
「蛍光灯はガラスくず?」
「金属部分もあるから金属くず?」
「普通の産業廃棄物として処理してよい?」
と迷うこともあるのではないでしょうか。
事業活動に伴って廃棄される蛍光ランプは、その構成に応じてガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、金属くず、廃プラスチック類などの混合物として扱われます。
しかし、蛍光ランプには水銀が使用されているため、それだけではありません。
廃棄物処理法上の「水銀使用製品産業廃棄物」にも該当し、通常の産業廃棄物に加えて、破損防止、他の廃棄物との区分、委託契約書・マニフェストへの記載など、特別な取扱いが必要です。
この記事では、産廃業界での実務経験を持つ行政書士が、
- 蛍光灯は何の産業廃棄物なのか
- 水銀使用製品産業廃棄物とは何か
- LEDランプとの違い
- 保管するときの注意点
- 収集運搬業者の許可証で何を見るのか
- 委託契約書・マニフェストの書き方
- 処分・リサイクルするときの注意点
について実務に沿って解説します。
蛍光灯は何の産業廃棄物?
一般に「蛍光灯」と呼ばれていますが、廃棄物処理法や環境省の資料では「蛍光ランプ」という名称が使用されています。
蛍光ランプは一つの素材だけで作られているものではありません。
例えば、
- ガラス管
- 金属製の口金
- プラスチック部品
- 蛍光体
- 水銀
などから構成されています。
そのため、事業活動に伴って廃棄される蛍光ランプは、その性状・構成に応じて、
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 金属くず
- 廃プラスチック類
などが混合した産業廃棄物として取り扱われます。
処理の過程によっては汚泥などが発生する場合もあります。
つまり、
「蛍光灯=ガラスくずだけ」
と考えるのは適切ではありません。
さらに「水銀使用製品産業廃棄物」に該当する
蛍光ランプの処理で特に重要なのが、水銀使用製品産業廃棄物です。
水銀使用製品産業廃棄物とは、水銀またはその化合物が使用されている製品のうち、法令で定められた製品が産業廃棄物になったものです。
対象となる製品には、
- 水銀電池
- 空気亜鉛電池
- 蛍光ランプ
- HIDランプ
- 水銀体温計
- 水銀式血圧計
などがあります。
蛍光ランプについては、
- 直管形
- 環形
- 角形
- コンパクト形
- 電球形蛍光ランプ
- 冷陰極蛍光ランプ
- 外部電極蛍光ランプ
などが対象となります。
したがって、事業所から使用済み蛍光ランプを排出する場合には、
「ガラスくず等・金属くずなどの産業廃棄物」+「水銀使用製品産業廃棄物」
という両方の視点で管理する必要があります。
水銀使用製品産業廃棄物は「特別管理産業廃棄物」ではない
ここは誤解されやすいポイントです。
「水銀を含んでいる」
と聞くと、
特別管理産業廃棄物では?
と思うかもしれません。
しかし、一般的な使用済み蛍光ランプである水銀使用製品産業廃棄物は、それだけで特別管理産業廃棄物になるわけではありません。
通常の産業廃棄物に分類されたうえで、水銀使用製品産業廃棄物として追加の処理基準が適用されるものです。
一方、一定の廃水銀等については特別管理産業廃棄物になります。
「水銀」という言葉だけで同じ扱いと判断せず、廃棄物の種類を正しく区別することが重要です。
家庭から出た蛍光灯とは扱いが違う
蛍光灯の捨て方をインターネットで調べると、
「自治体の回収日に出してください」
「不燃ごみとして出してください」
などの情報が出てくることがあります。
これは主に家庭から排出される蛍光ランプについての話です。
家庭から出る使用済み蛍光ランプは一般廃棄物となり、それぞれの市区町村が定める方法で排出します。
一方、
- 会社
- 工場
- 店舗
- 倉庫
- 学校
- 病院
- その他の事業所
など、事業活動に伴って排出される蛍光ランプは、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
「家庭では自治体が回収しているから、会社の蛍光灯も同じ方法で捨ててよい」
とは限りません。
LEDランプは水銀使用製品産業廃棄物ではない
蛍光ランプとLEDランプも区別する必要があります。
一般的なLEDランプには、蛍光ランプのように水銀は使用されていません。
そのため、使用済みLEDランプは通常、水銀使用製品産業廃棄物には該当しません。
ただし、事業活動によって廃棄されるLEDランプ自体は、その材質に応じて、
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- ガラスくず等
などの産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
「蛍光ランプ」と「LEDランプ」を同じ箱にまとめて保管していると、処理時の分別が難しくなるため、交換時点から分けておくとよいでしょう。
2026年から蛍光ランプの製造・輸出入規制が段階的に始まっている
水銀に関する水俣条約を受けて、日本でも一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入規制が進められています。
2026年1月以降、蛍光ランプの種類に応じて段階的に製造・輸出入が禁止され、2027年末までに一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入が終了する予定です。
ただし、
蛍光ランプの使用・販売・購入そのものが一律に禁止されるわけではありません。
そのため、
「2027年になったら今使っている蛍光灯をすぐ全部捨てなければならない」
というものではありません。
一方で、今後LED照明への切替えが進むことで、事業所から大量の廃蛍光ランプが発生するケースは増えると考えられます。
交換工事を行う際には、交換後の蛍光ランプを誰が、どのように処理するのかまで事前に決めておくことが重要です。
使用済み蛍光ランプは「割らない」ことが基本
水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬では、特に重要なルールがあります。
それが、
破損させないこと
です。
蛍光ランプの内部には水銀が含まれているため、ガラス管が破損すると水銀が大気中へ飛散するおそれがあります。
そのため、
- 購入時のケース
- 専用回収容器
- 蛍光ランプの長さに合った箱
- 緩衝材を使用した容器
などを使い、運搬中に破損しないようにします。
「運びやすいように割る」はNG
長い直管蛍光ランプは場所を取ります。
そのため、
「処分するものだから、割って袋に入れれば運びやすい」
と考えることがあるかもしれません。
しかし、水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬では、破砕することのない方法で運搬することが求められています。
意図的に割って容積を小さくするような運用は避けましょう。
破砕処理を行う場合には、水銀が大気中へ飛散しないための設備を備えた適切な処理施設で行う必要があります。
他の産業廃棄物と混ぜずに保管する
使用済み蛍光ランプは、
- 廃プラスチック
- 金属くず
- 段ボール
- その他の不燃物
などと一緒のコンテナへ投入するのではなく、他の廃棄物と区分して保管します。
他の廃棄物と混ぜると、
- 上に重量物を載せられて破損する
- 回収時に落として割れる
- 水銀使用製品であることが分からなくなる
- 不適切な破砕施設へ搬入される
といったリスクがあります。
専用容器や仕切りなどを利用して、他の廃棄物と混ざらないようにしましょう。
保管場所の掲示にも注意
事業場で水銀使用製品産業廃棄物を保管する場合には、通常の産業廃棄物保管基準に加えて、水銀使用製品産業廃棄物であることが分かるよう管理する必要があります。
例えば保管場所の掲示板では、
「ガラスくず、金属くず等(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」
など、実際の産業廃棄物の種類に加えて、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨を表示します。
保管場所でも、
- 専用容器を使用する
- 仕切りを設ける
- 他の廃棄物と混合しない
などの措置が重要です。
収集運搬業者の許可証はどこを見る?
使用済み蛍光ランプを産業廃棄物収集運搬業者へ委託するときには、許可内容を確認します。
まず、
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 金属くず
- 廃プラスチック類
など、実際の蛍光ランプの性状に応じた産業廃棄物の種類を取り扱えるか確認します。
さらに重要なのが、
水銀使用製品産業廃棄物を取り扱うことのできる許可か
という点です。
許可証上、
「水銀使用製品産業廃棄物を含む」
といった内容になっているか確認します。
「金属くずとガラスくずの許可があるから蛍光灯も大丈夫」
とだけ判断するのは避けましょう。
処理業者の許可証の見方については、産廃業者の許可証はどこを見る?許可品目・期限・積替え保管の確認方法で詳しく解説しています。
処分業者にも水銀使用製品産業廃棄物を処理できる許可が必要
収集運搬業者だけではなく、処分業者についても確認が必要です。
蛍光ランプの中間処理では、例えば、
- 蛍光ランプを専用設備へ投入
- 適切な飛散防止措置のもとで破砕
- ガラス・金属などを分離
- 水銀を含む部分を適切に処理
- ガラスや金属などを再資源化
といった処理が行われます。
水銀使用製品産業廃棄物を破砕・選別する場合には、水銀が大気中へ飛散しないよう、
- 密閉設備
- 集じん設備
- 活性炭フィルター
などの措置が必要になります。
したがって、
「普通のガラス破砕施設へ持っていけばよい」
というものではありません。
実際に蛍光ランプを処理できる許可・設備を持った処分業者へ委託する必要があります。
宮城県でも、廃蛍光灯の中間処理・収集運搬に対応するリサイクル事業者が紹介されています。
蛍光ランプは安定型最終処分場へそのまま埋め立てできない
水銀使用製品産業廃棄物については、安定型最終処分場への埋立処分は禁止されています。
蛍光ランプにはガラスや金属などが含まれるため、
「ガラスくずや金属くずなら安定型に入れられるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、水銀を含んだ蛍光ランプをそのまま安定型最終処分場へ搬入することはできません。
適切な中間処理施設へ委託し、水銀の飛散を防ぎながら処理することが重要です。
蛍光ランプは必ず水銀を回収しなければならない?
ここは少し専門的ですが、誤解しやすいポイントです。
水銀使用製品産業廃棄物の中には、法令上、処分・再生前に水銀の回収が義務付けられている製品があります。
しかし、一般的な蛍光ランプについては、現行の水銀回収義務対象一覧には含まれていません。
したがって、
「水銀使用製品産業廃棄物=すべて水銀回収が法律上必須」
というわけではありません。
ただし、蛍光ランプには水銀が含まれているため、環境負荷を低減する観点からも、可能な限り水銀回収・再資源化を行う適切な処理ルートを選択することが望ましいでしょう。
委託契約書には「水銀使用製品産業廃棄物」を明記する
蛍光ランプの処理を業者へ委託するときには、産業廃棄物処理委託契約書にも注意が必要です。
例えば、
「ガラスくず、金属くず」
とだけ書いて終わりではありません。
委託する産業廃棄物に水銀使用製品産業廃棄物が含まれる場合には、水銀使用製品産業廃棄物を含む旨を委託契約書に記載する必要があります。
重要なのは、
- 実際の廃棄物
- 処理業者の許可証
- 委託契約書
が一致していることです。
産業廃棄物処理委託契約書については、産業廃棄物処理委託契約書とは|法定記載事項・二者契約・保存期間を解説で詳しく解説しています。
マニフェストにも「水銀使用製品産業廃棄物」と記載する
マニフェストにも追加の記載が必要です。
水銀使用製品産業廃棄物を委託する場合には、産業廃棄物の種類欄に、
水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨
を記載します。
さらに、その数量についても記載します。
例えば、
「ガラスくず等・金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」
といった形で、実際の廃棄物に合わせて管理します。
電子マニフェストを利用する場合も、水銀使用製品産業廃棄物であることを適切に登録する必要があります。
電子マニフェストの仕組みについては、電子マニフェストとは?JWNETの導入・料金・使い方を実務解説をご覧ください。
大量の蛍光ランプを交換するときは処理方法を先に決める
オフィスビルや工場、倉庫などでLED化工事を行う場合、数百本、数千本という単位で使用済み蛍光ランプが発生する場合があります。
工事を始めてから、
「この蛍光灯をどこに置けばいい?」
「誰が処分する?」
「工事業者に持って帰ってもらえばいい?」
となると、適切な管理が難しくなります。
そのため、交換工事を行う前に、
- 何本程度発生するか
- どこで保管するか
- 破損しない容器をどう用意するか
- 誰が排出事業者になるか
- どの収集運搬業者へ委託するか
- どの中間処理施設へ搬入するか
- 委託契約書をどうするか
- マニフェストを誰が交付するか
まで決めておくとスムーズです。
工事業者に「持ち帰ってもらう」場合にも注意
蛍光灯のLED交換工事を電気工事業者へ依頼すると、
「外した蛍光灯はこちらで持ち帰ります」
と言われる場合があります。
しかし、事業活動によって発生した産業廃棄物は、
誰が排出事業者で、誰が収集運搬し、誰が処分するのか
を明確にする必要があります。
単に、
「工事業者がサービスで回収してくれるから大丈夫」
とは限りません。
実際の契約関係や工事内容によって排出事業者の判断が必要となるため、収集運搬業許可の要否や委託契約を含め、処理ルートを事前に確認しましょう。
使用済み蛍光ランプを処理するときのチェックリスト
廃棄物の確認
□ 蛍光ランプとLEDランプを分けている
□ 事業活動によって発生したものか確認した
□ 水銀使用製品産業廃棄物として管理している
保管
□ 蛍光ランプを破損させない容器を使用している
□ 他の廃棄物と区分している
□ 重量物を上に載せていない
□ 保管場所に必要な表示をしている
収集運搬業者
□ 必要な産業廃棄物の種類を取り扱える
□ 水銀使用製品産業廃棄物を取り扱える許可になっている
□ 許可期限が有効である
□ 破損防止・区分運搬ができる
処分業者
□ 水銀使用製品産業廃棄物を処理できる
□ 蛍光ランプに対応した処理設備がある
□ 水銀の飛散防止措置が講じられている
□ 安定型最終処分場への直接搬入になっていない
契約・マニフェスト
□ 委託契約書に水銀使用製品産業廃棄物を含む旨を記載した
□ 許可証と契約内容が一致している
□ マニフェストに水銀使用製品産業廃棄物を含む旨を記載した
□ 数量を適切に記載した
□ 処理終了まで確認している
まとめ|蛍光灯は「ガラスくず」だけで処理しない
事業所から排出される使用済み蛍光ランプは、その性状に応じて、
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、金属くず、廃プラスチック類など
の産業廃棄物として扱われます。
さらに重要なのが、
「水銀使用製品産業廃棄物」に該当する
という点です。
そのため、通常の産業廃棄物管理に加えて、
・破損しないように保管・運搬する
・他の廃棄物と区分する
・水銀使用製品産業廃棄物を扱える処理業者へ委託する
・委託契約書にその旨を記載する
・マニフェストにもその旨と数量を記載する
・安定型最終処分場へそのまま埋め立てない
といった対応が必要です。
特に今後、蛍光ランプからLED照明への切替えが進むと、一度に大量の廃蛍光ランプが発生するケースが増えると考えられます。
交換してから処理方法を考えるのではなく、
LED化計画と同時に廃蛍光ランプの処理ルートも決めておく
ことが適正処理につながります。
産廃のことなら、あさぎ行政書士事務所にご相談ください
あさぎ行政書士事務所では、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請だけでなく、
- 水銀使用製品産業廃棄物に関する許可内容の確認
- 処理業者の許可証確認
- 産業廃棄物処理委託契約書の確認
- マニフェスト運用の確認
- 排出事業者向け産廃管理体制の確認
など、産廃実務に関するご相談にも対応しています。
「現在の許可で蛍光ランプを運べるか分からない」
「LED化で大量の蛍光ランプが発生するが、どう処理すればよいか分からない」
「委託契約書やマニフェストの記載方法を確認したい」
といった場合も、お気軽にご相談ください。
当事務所の産廃関連サポートについては、あさぎ行政書士事務所の取扱業務をご覧ください。

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