金属くずとは?スクラップとの違いと有価物になる場合の考え方

工場や建設現場、オフィスなどでは、さまざまな金属製品が不要になります。
例えば、
「鉄くずは全部、産業廃棄物の金属くず?」
「スクラップ業者が買い取ってくれるなら有価物?」
「1円でも値段が付けば産廃ではなくなる?」
「金属くずと“くず鉄”は同じ意味?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、
事業活動に伴って発生した不要な金属や金属製品は、基本的に産業廃棄物の「金属くず」に該当します。
一方で、鉄・銅・アルミなどの金属は資源価値が高く、スクラップとして有償で取引されることも多くあります。
そのため金属くずは、
「産業廃棄物」と「有価物」の境界が特に問題になりやすい品目
でもあります。
さらに、廃棄物である金属くずの中には、いわゆる「専ら物」として再生利用される「くず鉄」もあります。
この記事では、産廃業界での実務経験を持つ行政書士が、
- 産業廃棄物の金属くずとは何か
- 金属くずの具体例
- 金属くずとスクラップの違い
- 有価物になる場合の考え方
- 「売れれば廃棄物ではない」が正しくない理由
- くず鉄と「専ら物」の関係
- 処理業者へ委託するときの許可・契約・マニフェスト
について分かりやすく解説します。
金属くずとは?
「金属くず」は、廃棄物処理法で定められている産業廃棄物20種類の一つです。
宮城県の許可手引きでは、金属くずについて、
「すべての金属及び金属製品くず」
と整理されています。
つまり、金属くずには排出業種の限定がありません。
工場や建設業だけではなく、
- 一般企業
- オフィス
- 店舗
- 倉庫
- 病院
- 学校
など、どのような事業者から発生した場合でも、事業活動に伴って不要になった金属製品は産業廃棄物の金属くずに該当することがあります。
金属くずの具体例
代表的なものには、
- 鉄くず
- 銅くず
- アルミくず
- ステンレスくず
- 真鍮くず
- 金属製切削くず
- 金属製容器
- 金属製配管
- 鉄骨
- 金属製建具
- 空き缶
- スチール製ロッカー
などがあります。
宮城県も、事務所から排出されるスチールロッカーを産業廃棄物の金属くずの具体例として示しています。
つまり、
「建設現場や工場から出た金属だけが産廃」
というわけではありません。
製造工場から出る金属くず
製造業では、加工工程からさまざまな金属くずが発生します。
例えば、
- プレス加工時の端材
- 金属切削くず
- 金属粉
- 不良部品
- 金属製品の規格外品
- 鉄板・鋼材の端材
などです。
品質や材質が一定している鉄、銅、アルミなどは、スクラップとして再資源化されることも多くあります。
ただし、
リサイクルされるから最初から廃棄物ではない
という意味ではありません。
排出時点で不要物であれば、廃棄物該当性を確認する必要があります。
建設工事から発生する金属くず
建設・解体工事からも、多くの金属くずが発生します。
例えば、
- 鉄骨
- 鉄筋
- 金属製サッシ
- 金属製扉
- 配管
- ダクト
- ボルト・ナット
- 金属製屋根材
などです。
これらについては、木くずや紙くずとは異なり業種指定がありません。
したがって、建設工事から発生したものでも、基本的には金属くずとして扱います。
ただし、プラスチックやガラスなどが一体になっている製品では、複数種類の産業廃棄物として考える必要があります。
プラスチック付きの金属製品はどうなる?
例えば、
- 金属フレーム+樹脂部品の事務椅子
- 金属筐体+プラスチック部品の機器
- 被覆付き電線
- 金属とガラスが一体となった製品
などがあります。
この場合、金属部分だけを見るのではなく、
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- ガラスくず等
など、複数種類からなる廃棄物の混合物として扱う場合があります。
宮城県も、例えば事務机について、材質によって廃プラスチック類と金属くずの混合物として取り扱う例を示しています。
処理業者へ委託するときには、混合している品目について許可範囲を確認することが重要です。
「スクラップ」と「金属くず」は同じ?
日常の取引では、
「鉄スクラップ」
「金属スクラップ」
という言葉がよく使われます。
しかし、「スクラップ」は廃棄物処理法上の正式な産業廃棄物品目名ではありません。
一般には、
金属資源として回収・再利用される金属類
という意味で使われています。
そのため、
「スクラップと呼んでいるから有価物」
というわけではありません。
同じ鉄スクラップでも、
- 不要物として処理費を払って引き取ってもらう
- 廃棄物として再生処理を委託する
- 市場価格でスクラップ業者へ売却する
など、実際の取引内容によって法的な扱いが異なる場合があります。
金属くずが「有価物」になる場合
鉄、銅、アルミなどは市場価値が高く、実際に有償で取引されることがあります。
例えば、
銅線を1kg当たり○円でスクラップ業者へ売却する
といったケースです。
実際に商品・原料としての価値があり、通常の市場取引として合理的な価格で売却されているのであれば、廃棄物ではなく有価物として扱われる場合があります。
しかし、
「値段が付いた」という事実だけで自動的に有価物になるわけではありません。
「1円で売れば有価物」は正しくない
廃棄物か有価物かを判断するときには、
- 物の性状
- 排出の状況
- 通常の取扱い形態
- 取引価値の有無
- 占有者の意思
などを総合的に判断します。
そのため、
「本来は処分費が必要な金属くずだが、廃棄物処理法を避けるために1円で売買契約を作った」
というだけでは、真正な有価物になったとは限りません。
実態として、
- 市場価値があるか
- 継続的な需要があるか
- 商品・原料として適切な品質があるか
- 売買価格に経済合理性があるか
- 排出者が実質的に処理費を負担していないか
などを確認する必要があります。
産業廃棄物と有価物の判断については、産業廃棄物と有価物の境界はどこ?「売れれば廃棄物ではない」は本当かで詳しく解説しています。
売却代金より運搬費が高い場合は?
例えば、
金属スクラップ売却代金 10,000円
に対して、
排出事業者が運送費として30,000円を負担しているケースを考えます。
表面上は、
「1万円で売却している」
ことになります。
しかし取引全体では、排出者側に2万円の経済的負担が生じています。
このような場合には、
本当に商品として売却しているのか、それとも処理費を負担して不要物を処分しているのか
について慎重な判断が必要です。
単純に「売却代金が発生した」という点だけを見るべきではありません。
金属の相場が下がったら廃棄物になることもある?
金属スクラップの取引価格は、市況によって変動します。
例えば、これまで有価で売却できていた金属くずでも、
- 金属相場が下落した
- 異物が多く混入した
- 選別コストが高くなった
- 運搬費が高騰した
ことによって、処理費を支払わなければ引き取ってもらえなくなる場合があります。
その場合、
以前は有価物だったから、今も自動的に有価物
とは限りません。
実際の取引状況をその都度確認する必要があります。
「金属くず」と「くず鉄」は何が違う?
「金属くず」は、廃棄物処理法上の産業廃棄物の品目名です。
一方、
「くず鉄」
という言葉は、鉄スクラップなど再生資源として利用される金属類を指して使われます。
さらに廃棄物処理法では、
「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」
いわゆる専ら物として、
- 古紙
- くず鉄(古銅等を含む)
- 空きびん類
- 古繊維
の4品目が扱われています。
「専ら物」は有価物ではない
ここは非常に重要です。
「専ら物」と聞くと、
「リサイクルされるから廃棄物ではない」
と思われることがあります。
しかし環境省は明確に、
専ら再生利用の目的となる廃棄物は、有価物ではなく「廃棄物」である
としています。
つまり、
専ら物=有価物
ではありません。
廃棄物ではあるものの、古くから再生資源回収業者によって再生利用されてきた一定の品目について、例外的な制度が設けられているものです。
くず鉄の「専ら物」では許可が不要になる場合がある
専ら再生利用するためのくず鉄のみを取り扱う事業者については、廃棄物処理法上、一定の場合に収集運搬業・処分業の許可が不要となる制度があります。
ただし、
金属が含まれていれば何でも「専ら物」になる
わけではありません。
重要なのは、
専ら再生利用を目的として取り扱われる「くず鉄」であること
です。
例えば、
- 木くず
- 廃プラスチック
- ガラス
- その他の廃棄物
が大量に混ざった雑品スクラップなどまで、自動的に専ら物として扱われるわけではありません。
専ら物でも委託契約は必要
宮城県では、専ら物について、
廃棄物であることに変わりはない
と明確に案内しています。
事業所から排出される専ら物を処理委託する場合、
- マニフェストの交付は不要
- 書面による委託契約は必要
とされています。
したがって、
「専ら物だから廃棄物処理法は一切関係ない」
という理解は誤りです。
また、本当に専ら物として取り扱える処理ルートなのかを確認することも重要です。
金属くずの処理業者は「有価買取」と「産廃処理」の両方を行う場合がある
金属スクラップ業者の中には、
- 市場価値のある金属は有価買取
- 汚れ・異物等が多いものは産業廃棄物として受入れ
という両方の取扱いをしている事業者もあります。
宮城県のリサイクル事業者紹介でも、金属くずについて、
- 中間処理
- 収集運搬
- 有価買取
などに対応する事業者が紹介されています。
つまり、
同じ処理業者へ持ち込む場合でも、その荷物が有価物なのか産業廃棄物なのかは別に判断する
必要があります。
処理費と買取代金を相殺する場合は注意
例えば、
金属買取代金 20,000円
異物処理費 30,000円
で、差額10,000円を排出側が支払うケースがあります。
このような場合、
「金属部分に2万円の値段が付いたから全部有価物」
とは判断できません。
取引全体では排出者が費用を支払っているため、廃棄物処理に該当する可能性があります。
一方、金属部分とその他の廃棄物を明確に分別し、
- 金属は有価物として売却
- 廃プラスチック等は産業廃棄物として処理委託
という取引に分けられる場合もあります。
実際の廃棄物・契約・計量・請求内容を一致させることが重要です。
雑品スクラップは特に注意
家電や機械などを解体せず、そのまま「雑品スクラップ」として取り扱うケースもあります。
例えば、
- モーター
- 電気機器
- 配線類
- 金属とプラスチックが一体となった機械
などです。
このような物は金属だけではなく、
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず等
など複数の素材から構成されていることがあります。
また、有害物質を含む場合もあります。
そのため、
「金属が入っているから全部くず鉄・専ら物」
と判断することは避けるべきです。
事業所から出るスチール家具は金属くず
一般オフィスから排出される、
- スチールロッカー
- 金属製書庫
- 金属製棚
- 金属製机
などは、産業廃棄物の金属くずに該当することがあります。
木くずや紙くずと異なり、金属くずには業種指定がありません。
そのため、
「オフィスのごみだから事業系一般廃棄物」
とは限りません。
ただし、木材・プラスチックなどを含む複合家具では、その素材構成も確認する必要があります。
建設混合廃棄物に金属くずが入っている場合
解体工事では、
- 金属くず
- 木くず
- がれき類
- 廃プラスチック類
- ガラスくず等
などが同時に発生します。
これらを一緒にしてしまうと建設混合廃棄物になります。
金属くずは資源価値があることが多いため、現場で分別しておけば、
- 有価物として売却できる
- 再資源化しやすい
- 混合廃棄物の処理量を減らせる
可能性があります。
そのため、鉄・アルミなどを他の廃棄物から分けることは、適正処理だけでなく処理費用の削減にもつながる場合があります。
建設混合廃棄物については、建設混合廃棄物とは?許可品目・分別・処理委託の注意点をご覧ください。
収集運搬業者の許可証で「金属くず」を確認する
産業廃棄物として金属くずを処理委託する場合には、収集運搬業者の許可証を確認します。
少なくとも、
- 産業廃棄物収集運搬業許可がある
- 「金属くず」が事業範囲に含まれている
- 必要な地域の許可がある
- 許可期限が有効である
- 積替え保管を行う場合、その内容が許可されている
ことを確認します。
また、金属くずと廃プラスチック類などの混合物であれば、金属くずだけではなく他の品目も確認します。
処理業者の許可証の見方については、産廃業者の許可証はどこを見る?許可品目・期限・積替え保管の確認方法で詳しく解説しています。
処分業者は品目と処分方法を確認する
金属くずの中間処理では、
- 切断
- 圧縮
- 選別
- 破砕
などが行われることがあります。
したがって処分業者へ委託する場合には、
「金属くずを扱えるか」だけでなく、「実際の処分方法が許可されているか」
を確認します。
特に金属と他素材が一体になった機械・設備などでは、どのような処理工程を行うのか確認しておくとよいでしょう。
委託契約書・マニフェストにも正しい品目を記載する
産業廃棄物として金属くずを処理委託する場合には、産業廃棄物処理委託契約書を締結します。
マニフェストについても、実際に引き渡す廃棄物に合わせて「金属くず」を記載します。
例えば、
金属くず+廃プラスチック類
の混合物なのに、
「金属くず」
だけで契約・マニフェスト処理するのは適切ではありません。
重要なのは、
実際の廃棄物
=処理業者の許可
=委託契約書
=マニフェスト
を一致させることです。
委託契約書については、産業廃棄物処理委託契約書とは|法定記載事項・二者契約・保存期間を解説をご覧ください。
金属くずでよくある勘違い
「スクラップだから廃棄物ではない」
スクラップという呼び名だけでは判断できません。
取引実態によっては産業廃棄物です。
「値段が付けば必ず有価物」
価格は重要な判断材料ですが、それだけで決まるわけではありません。
取引全体を確認します。
「専ら物は有価物」
専ら物は廃棄物です。
一定の再生利用について処理業許可の例外が設けられている制度です。
「金属が含まれていれば全部くず鉄の専ら物」
複合製品や雑品スクラップまで、自動的に専ら物になるわけではありません。
「一般オフィスから出た金属製品は一般廃棄物」
金属くずには業種指定がありません。
事務所のスチールロッカーなども産業廃棄物になる場合があります。
金属くずを処理するときのチェックリスト
廃棄物か有価物か
□ 本当に商品・原料として需要がある
□ 合理的な価格で売買されている
□ 処理費を別に負担していない
□ 運搬費を含めて取引実態を確認した
□ 売買契約・計量票・請求書等を保存している
廃棄物の場合
□ 金属くずとして分類した
□ 他の素材が混ざっていないか確認した
□ 収集運搬業者の金属くず許可を確認した
□ 処分業者の許可・処分方法を確認した
専ら物の場合
□ 専ら再生利用されるくず鉄であるか確認した
□ 他の廃棄物が混入していない
□ 再生利用する処理ルートになっている
□ 書面による委託契約を締結した
契約・マニフェスト
□ 通常の産廃処理委託なら委託契約書を締結した
□ マニフェストが必要な取引か確認した
□ 許可証・契約書・実際の廃棄物が一致している
産業廃棄物の種類をもっと詳しく見る
産業廃棄物は、品目によって許可の範囲や処理方法、一般廃棄物との区分などが異なります。
まず全体像を確認したい方は、産業廃棄物20種類とは?品目一覧と判断方法をご覧ください。
個別の品目については、以下の記事で詳しく解説しています。
- 廃プラスチック類とは?具体例と産廃処理で注意するポイント
- がれき類とは?コンクリートくずとの違いを分かりやすく解説
- ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずとは?具体例と許可品目
- 木くずはすべて産業廃棄物?業種指定と建設工事の木くずを解説
- 紙くずは産業廃棄物になる?事業系一般廃棄物との違い
- 繊維くずは産業廃棄物になる?建設工事で発生する場合の考え方
- 金属くずとは?スクラップとの違いと有価物になる場合の考え方
- 廃油とは?産業廃棄物になる油と特別管理産業廃棄物になる油
- 汚泥とは?産業廃棄物としての判断が難しい理由を解説
- 廃石膏ボードの処理方法|管理型最終処分場・リサイクル時の注意点
まとめ|「金属に価値がある」ことと「廃棄物ではない」ことは別
金属くずは、廃棄物処理法上の産業廃棄物20種類の一つで、
すべての業種から発生する金属・金属製品くず
が対象になります。
代表的には、
・鉄くず
・銅くず
・アルミくず
・金属製端材
・鉄骨
・配管
・スチール家具
などがあります。
一方、金属は資源価値が高いため、実際にスクラップとして有償売却されることもあります。
しかし、
「スクラップと呼ぶ」
「1円で売る」
「リサイクルされる」
というだけで、自動的に有価物になるわけではありません。
廃棄物か有価物かは、
・物の性状
・排出の状況
・通常の取扱い形態
・取引価値
・占有者の意思
などから総合的に判断します。
また、くず鉄は「専ら再生利用の目的となる廃棄物」に該当する場合がありますが、
専ら物もあくまで廃棄物
です。
したがって、
金属くず
=スクラップ
=有価物
=専ら物
とすべて同じものとして扱わないことが重要です。
産廃のことなら、あさぎ行政書士事務所にご相談ください
あさぎ行政書士事務所では、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請だけでなく、
- 金属くずの許可品目確認
- 廃棄物と有価物の区分整理
- 専ら物に該当するかの事業スキーム整理
- 処理業者の許可証確認
- 産業廃棄物処理委託契約書の確認
- 建設・製造業者向けの産廃実務相談
にも対応しています。
「スクラップとして売却しているが、本当に有価物扱いでよいのか」
「この金属くずは専ら物として処理できるのか」
「現在の処理業者の許可で運搬・処分できるか確認したい」
といった場合も、お気軽にご相談ください。
当事務所の産廃関連サポートについては、あさぎ行政書士事務所の取扱業務をご覧ください。

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