産廃収集運搬業者に処理を委託するときの注意点|排出事業者が確認すべき7項目

産廃委託時の注意点

会社や工場、建設現場などから発生した産業廃棄物を処理するとき、多くの事業者は専門の産業廃棄物処理業者へ処理を委託します。

しかし、

「いつも頼んでいる業者だから大丈夫」

「産廃の許可を持っている会社だから任せておけば問題ない」

という考え方には注意が必要です。

産業廃棄物の処理を処理業者へ委託したからといって、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。

排出事業者には、自らの事業活動によって発生した産業廃棄物を適正に処理する責任があり、外部へ委託する場合にも、適切な許可を持った業者を選び、委託契約を締結し、マニフェストなどによって処理状況を確認する必要があります。

排出事業者が負う基本的な責任については、排出事業者とは?産業廃棄物処理における責任を解説でも詳しく解説しています。

この記事では、産廃業界での実務経験を持つ行政書士が、産業廃棄物の収集運搬を業者へ委託するときに、排出事業者が確認しておきたい7つのポイントを解説します。

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産廃を業者に任せても「排出事業者責任」はなくならない

最初に押さえておきたいのが、排出事業者責任です。

事業活動に伴って生じた廃棄物については、事業者が自らの責任で適正に処理することが基本となります。

もちろん、すべての事業者が自社で産業廃棄物を運搬したり処分したりできるわけではありません。

そのため実際には、

排出事業者

収集運搬業者

中間処理業者・最終処分業者

という形で処理を委託するのが一般的です。

ここで重要なのは、

「業者へ委託した=排出事業者の責任が終わった」

ではないということです。

適切な処理業者を選ぶこと、適切な内容で契約すること、マニフェストなどによって処理状況を確認することまで含めて、排出事業者にとって重要な産廃管理業務となります。

それでは、委託するときに確認したい7項目を見ていきましょう。

① 必要な「産業廃棄物収集運搬業許可」を持っているか

最初に確認するのは、委託しようとしている業者が適切な産業廃棄物収集運搬業許可を持っているかどうかです。

産廃処理業者だからといって、どの地域でも、どの産業廃棄物でも自由に運搬できるわけではありません。

収集運搬業者へ委託するときには、少なくとも、

  • 産業廃棄物収集運搬業の許可を持っているか
  • 必要となる地域の許可を持っているか
  • 許可の有効期限が切れていないか
  • 委託する産業廃棄物が事業範囲に含まれているか

を確認します。

産業廃棄物収集運搬業許可の基本的な仕組みや、どの地域の許可が必要になるのかについては、産業廃棄物収集運搬業許可の申請サポートで詳しく解説しています。

「会社の所在地」だけで判断しない

例えば、宮城県にある会社だからといって、当然に必要なすべての地域の収集運搬業許可を持っているとは限りません。

実際の収集運搬では、

どこで産業廃棄物を積み込み、どこへ運ぶのか

を確認したうえで、必要な許可がそろっているか判断する必要があります。

単にホームページに「産廃収集運搬対応」と書いてあることだけで判断せず、実際の許可内容を確認することが基本です。

② 委託する産業廃棄物が「許可品目」に入っているか

収集運搬業許可を持っていることが確認できたら、次に見るのが許可品目です。

ここは非常に重要です。

例えば、ある業者が、

  • 廃プラスチック類
  • 金属くず
  • がれき類

の許可を持っていたとします。

その業者だからといって、許可範囲外の産業廃棄物まで当然に運搬できるわけではありません。

したがって排出事業者は、

「今回渡す産業廃棄物が、この業者の許可品目に入っているか」

を確認する必要があります。

「産廃なら全部運べる」は間違い

よくある誤解が、

「産廃の許可を持っている業者なら、産廃は何でも運べる」

というものです。

産業廃棄物収集運搬業許可は、許可された事業範囲の中で行うものです。

そのため、

「いつも廃プラスチック類を持っていってもらっているから、今回出た別の廃棄物も一緒に持っていってもらおう」

という場合には注意が必要です。

廃棄物の種類が変わったときには、改めて許可証を確認しましょう。

許可証のどこを見ればよいのか、許可品目・有効期限・積替え保管の有無など具体的な確認方法については、産廃業者の許可証はどこを見る?許可品目・期限・積替え保管の確認方法で詳しく解説しています。

石綿や水銀などは特に注意

許可証には、

  • 石綿含有産業廃棄物
  • 水銀使用製品産業廃棄物
  • 水銀含有ばいじん等

などについて、「含む」「除く」といった記載がされている場合があります。

単に大分類の品目名だけを見るのではなく、許可証に付された限定まで確認することが大切です。

③ 許可期限と「積替え保管」の有無を確認する

許可品目と合わせて確認したいのが、

許可の有効期限と積替え保管の有無

です。

許可期限を確認する

産業廃棄物収集運搬業許可には有効期間があります。

長年同じ業者へ依頼していると、

「昔、許可証をもらったから大丈夫」

となりがちですが、その許可証が現在も有効とは限りません。

継続的に委託している場合には、更新後の許可証を入手し、内容を確認しておくことが重要です。

また、更新申請が適法に行われ審査中の場合など、許可証上の有効期限が過ぎていても従前の許可が引き続き効力を有するケースがあります。

日付だけで判断できない場合には、更新手続の状況を確認しましょう。

積替え保管を行うか確認する

もう一つ重要なのが積替え又は保管です。

例えば、

排出事業場

収集運搬業者の積替え保管施設

別の車両へ積替え

処分場

という運搬を行うのであれば、その業者が必要な積替え保管の許可を受けているか確認する必要があります。

一方、

排出事業場

そのまま処分場

と直行する場合には、通常は積替え保管を伴わない運搬となります。

排出事業者側でも、

「この廃棄物はいったんどこかへ持ち込まれるのか」

「そのまま処分場へ行くのか」

という処理ルートを把握しておくとよいでしょう。

④ 収集運搬業者だけでなく「処分業者」も確認する

ここは産廃処理委託で非常に重要なポイントです。

産業廃棄物収集運搬業者は、文字どおり産業廃棄物を収集・運搬するための許可を持った業者です。

収集運搬業許可だけを持つ業者に、

「後は全部そちらで処分しておいてください」

と任せればよいわけではありません。

産業廃棄物の処分については、適切な産業廃棄物処分業者へ委託する必要があります。

つまり排出事業者は、

誰が運ぶのか

だけでなく、

どこへ運び、誰が処分するのか

まで把握する必要があります。

産業廃棄物処分業の許可や中間処理・最終処分の考え方については、産業廃棄物処分業許可をご覧ください。

処分業者とも直接契約するのが原則

例えば、

  • A社=排出事業者
  • B社=収集運搬業者
  • C社=処分業者

という場合、

A社はB社へ収集運搬を委託し、C社へ処分を委託します。

したがって原則として、

A社 ↔ B社 収集運搬委託契約

A社 ↔ C社 処分委託契約

という関係になります。

「収集運搬業者に全部任せているから、どこの処分場へ行っているか知らない」

という状態は避けるべきです。

なお、一つの会社が収集運搬業と処分業の双方について必要な許可を持ち、その両方を委託する場合には、一つの契約書で契約することも可能です。

⑤ 委託契約書を「事前に」「書面で」締結する

産業廃棄物の処理委託では、委託契約書が必要です。

少量だから不要、単発だから不要というものではありません。

「電話で回収をお願いした」

「昔からの取引先なので口約束だけ」

という方法では、適正な委託とはいえません。

実際に産業廃棄物を引き渡す前に、必要事項を記載した書面による委託契約を締結しておきます。

契約書には何を書く?

委託契約書には、例えば、

  • 委託する産業廃棄物の種類
  • 数量
  • 委託契約の有効期間
  • 委託料金
  • 受託者の事業の範囲
  • 運搬の最終目的地
  • 適正処理のために必要な情報
  • 契約終了時の未処理廃棄物の取扱い

など、法令で定められた事項を盛り込む必要があります。

処分を委託する場合には、処分場所、処分方法、処理能力などについても契約内容を確認します。

委託契約書の法定記載事項や、収集運搬業者・処分業者との二者契約については、産業廃棄物処理委託契約書とは|法定記載事項・二者契約・保存期間を解説で詳しく解説しています。

許可証の写しも確認する

委託契約書には、委託しようとしている処理がその業者の許可範囲に含まれていることを確認できるよう、処理業許可証の写し等を添付します。

ただし、許可証をコピーして契約書の後ろに付ければそれで終わりではありません。

重要なのは、

契約内容と許可内容が一致していること

です。

例えば契約書に「木くず」と書いているにもかかわらず、収集運搬業者の許可品目に木くずが入っていないのであれば問題です。

契約書を作るときには、許可証と見比べながら確認するとよいでしょう。

⑥ 産業廃棄物の性状・取扱上の注意点を正しく伝える

意外に見落とされやすいのが、排出事業者から処理業者への情報提供です。

処理業者は、排出事業者から渡された情報をもとに廃棄物を運搬・処分します。

ところが、

「見た目は普通の廃棄物だから大丈夫だろう」

として必要な情報を伝えなければ、運搬中や処分時に事故や不適正処理につながる可能性があります。

例えば、

  • 水と接触すると反応する
  • 他の廃棄物と混ぜると危険である
  • 引火性がある
  • 腐敗しやすい
  • 有害物質を含んでいる
  • 石綿を含んでいる
  • 水銀を含む製品である
  • 鋭利なものが混入している

など、適正な処理を行うために必要な情報がある場合には、処理業者へ正しく伝える必要があります。

WDS(廃棄物データシート)を活用する場合も

廃棄物によっては、その性状や取扱上の注意点を整理するために、WDS(Waste Data Sheet/廃棄物データシート)が利用されることがあります。

特に性状が分かりにくい汚泥、廃液、廃油などでは、

「何が入っているのか」

「どのような性状なのか」

が適正処理のために非常に重要です。

排出事業者側も、

自社の廃棄物について最もよく分かっているのは自社である

という意識を持つことが大切です。

⑦ マニフェストで「本当に処理されたか」まで確認する

適切な業者を選び、委託契約を締結して、産業廃棄物を引き渡しました。

それで排出事業者の仕事が終わるわけではありません。

産業廃棄物を処理業者へ委託するときには、原則として**産業廃棄物管理票(マニフェスト)**を使用して処理の流れを管理します。

マニフェストには、

  • どの排出事業者から
  • どの産業廃棄物が
  • どれだけ排出され
  • 誰が運搬し
  • どこへ運び
  • 誰が処分したか

といった情報が記録されます。

紙マニフェストのほか、JWNETを利用する電子マニフェストもあります。

電子マニフェストの仕組みや導入方法については、電子マニフェストとは?JWNETの導入・料金・使い方を実務解説で詳しく解説しています。

「渡した」で終わらせない

排出事業者にとって重要なのは、

マニフェストを交付することだけではなく、その後の処理が適切に完了したことを確認すること

です。

紙マニフェストの場合には、返送された各票を確認し、

「収集運搬は終了したか」

「処分は終了したか」

「最終処分まで終了したか」

を管理します。

電子マニフェストであれば、JWNET上で処理終了報告を確認します。

処理終了報告がなかなか来ない場合には、そのまま放置せず、委託先へ確認する必要があります。

マニフェストだけ見ていれば十分?

ここも大切なポイントです。

マニフェストは産業廃棄物の処理状況を確認するための重要な制度ですが、

「マニフェストが返ってきたから、それだけで何をしていても大丈夫」

というものではありません。

排出事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるよう、必要な確認を行うことが大切です。

例えば、

  • 処理施設を実際に確認する
  • 処理業者が公開している処理状況を確認する
  • 許可内容を定期的に確認する
  • 不自然に安い処理料金ではないか確認する
  • 委託した廃棄物を処理できるだけの設備・能力があるか確認する

といった対応も、適正処理を確保するうえで有効です。

「昔から付き合っている業者だから」という理由だけで任せきりにするのではなく、定期的に委託先を確認する仕組みを作っておくとよいでしょう。

建設・解体工事では「誰が排出事業者か」にも注意

建設・解体工事では、一般的な事業所から出る産業廃棄物とは異なる注意点があります。

建設工事に伴って生じる産業廃棄物については、原則として、発注者から工事を直接請け負った元請業者が排出事業者となります。

そのため、

「実際に解体作業をしたのは下請業者だから、その業者に廃材処理も任せればよい」

とは限りません。

下請業者に廃材を運搬してもらう場合には、

  • 収集運搬業許可を持っているか
  • 運搬する廃棄物が許可品目に入っているか
  • 必要な地域の許可があるか
  • 許可期限が有効か
  • 適切な委託契約を締結しているか

などを確認する必要があります。

建設工事における排出事業者責任と、下請業者による廃材運搬については、元請・下請で産廃許可はどう変わる?排出事業者責任と下請運搬の特例で詳しく解説しています。

こんな委託方法には注意

ここまでの内容を踏まえると、例えば次のようなケースには注意が必要です。

「この業者は産廃屋だから何でも持っていける」

許可品目や必要な地域の許可を確認する必要があります。

「運んだ後どこへ行くのか知らない」

運搬の最終目的地や処分業者を把握しておく必要があります。

「処分場との契約は運搬業者に任せている」

原則として排出事業者自身が処分業者と委託契約を締結します。

「契約書はないけれどマニフェストは出している」

委託契約とマニフェストは別の制度です。マニフェストを交付しているから委託契約書が不要になるわけではありません。

「一度許可証をもらったので、何年も同じものを使っている」

許可更新や事業範囲の変更が行われている可能性があります。

「安い業者だからとりあえず頼んだ」

処理料金だけでなく、許可内容、処理ルート、処理能力なども確認しましょう。

排出事業者が確認したい7項目チェックリスト

産業廃棄物収集運搬業者へ委託するときは、次の項目をチェックしてみてください。

① 許可

□ 産業廃棄物収集運搬業許可を持っている
□ 必要な地域の許可がある

② 許可品目

□ 委託する産業廃棄物が許可品目に含まれている
□ 「含む」「除く」などの限定も確認した

③ 有効期限・積替え保管

□ 許可が現在も有効である
□ 積替え保管の有無を確認した
□ 実際の運搬方法が許可内容と一致している

④ 処分先

□ 運搬先の処分場を把握している
□ 処分業者の許可内容を確認している
□ 処分業者とも適切に契約している

⑤ 委託契約書

□ 廃棄物を引き渡す前に書面で契約している
□ 契約内容と許可内容が一致している
□ 許可証の写し等を確認している

⑥ 廃棄物情報

□ 廃棄物の種類・性状を正しく伝えている
□ 取扱上の注意点を伝えている
□ 必要に応じてWDSなどを活用している

⑦ マニフェスト・処理確認

□ マニフェストを適正に運用している
□ 処理終了報告を確認している
□ 必要に応じて処理業者の処理状況も確認している

一つでも曖昧な項目があれば、一度委託内容を整理してみることをおすすめします。

「安い・早い」だけで産廃業者を選ばない

産業廃棄物処理では、当然ながら処理費用も重要です。

しかし、

「一番安い業者だから」

という理由だけで委託先を決めることにはリスクがあります。

例えば、同じ種類・量の産業廃棄物にもかかわらず、他社と比べて極端に処理料金が安い場合には、

「なぜその価格で処理できるのか」

を確認してみてもよいでしょう。

もちろん、安いこと自体が問題というわけではありません。

効率的な処理設備を持っている、リサイクルルートを確立しているなど、合理的な理由によって安価な料金を実現している処理業者もあります。

大切なのは、

価格だけではなく、許可・処理方法・処理能力・処理ルートなどを含めて委託先を判断すること

です。

まとめ|産廃処理は「業者に渡したら終わり」ではない

産業廃棄物収集運搬業者へ委託するときには、

① 必要な許可を持っているか
② 委託する廃棄物が許可品目に入っているか
③ 許可期限・積替え保管に問題がないか
④ 処分先・処分業者まで把握しているか
⑤ 適切な委託契約書を締結しているか
⑥ 廃棄物の性状・注意事項を正しく伝えているか
⑦ マニフェスト等で処理終了まで確認しているか

の7項目を確認することが重要です。

産廃処理は、

「許可業者に渡したから、あとはお任せ」

ではありません。

排出事業者自身が、

どんな廃棄物を、誰に運んでもらい、どこで、どのように処理するのか

を把握しておくことが適正処理の基本です。

特に、複数の収集運搬業者・処分業者と取引している事業者では、

  • 許可証
  • 許可期限
  • 委託契約書
  • マニフェスト
  • 廃棄物の種類
  • 処分先

を一元的に管理しておくと、許可期限切れや契約内容の不一致などを防ぎやすくなります。

産廃のことなら、あさぎ行政書士事務所にご相談ください

あさぎ行政書士事務所では、産業廃棄物処理業の許可申請だけでなく、産廃事業者・排出事業者の皆さまを対象に、

  • 産業廃棄物処理委託契約書の作成・見直し
  • 処理業者の許可内容の確認
  • マニフェストの運用・管理
  • 電子マニフェスト導入支援
  • 産業廃棄物管理体制の確認

など、産廃実務に関するご相談にも対応しています。

「現在の委託方法で問題ないか確認したい」

「許可証と契約書の内容が合っているのか分からない」

「マニフェストの管理方法を見直したい」

といった場合も、お気軽にご相談ください。

当事務所の産廃関連サポートについては、あさぎ行政書士事務所の取扱業務をご覧ください。

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