産業廃棄物処理施設の技術管理者とは|選任義務・資格要件・講習を解説

産業廃棄物の処理施設を設置・運営する場合、施設の種類や規模によっては、一定の資格要件を満たす「技術管理者」を置かなければなりません。
技術管理者は、単に施設の責任者として名前を登録するだけの役職ではありません。処理施設が法令や維持管理基準に従って適正に運転されるよう、技術面から施設を管理する重要な立場です。
ただし、産業廃棄物を処理する設備のすべてに技術管理者が必要になるわけではありません。また、産業廃棄物処分業の許可と処理施設の設置許可、技術管理者の選任義務は、それぞれ分けて考える必要があります。
このページでは、産業廃棄物処理施設の技術管理者について、選任が必要となる施設、資格要件、講習の位置づけ、退職・異動時の対応などを解説します。
このページのポイント
- 原則として、廃棄物処理法上の対象施設の設置者に選任義務があります
- 処分業許可と施設設置許可は別の許可制度です
- 技術管理者には法令で定められた資格要件があります
- 講習修了は、資格要件を満たすために広く利用されている方法の一つです
- 退職や異動に備え、後任候補者を確保しておくことが重要です
廃棄物処理施設の技術管理者とは
技術管理者とは、廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当する者です。
廃棄物処理法第21条では、対象となる廃棄物処理施設の設置者に対し、原則として技術管理者を置くことを求めています。設置者自身が資格要件を満たし、自ら技術管理者として施設を管理する場合もあります。
技術管理者は、施設の構造や処理工程を理解したうえで、施設が維持管理基準に従って適正に運転されるよう管理します。また、施設の維持管理に従事するほかの職員を監督する役割も担います。
そのため、名義だけを借りて技術管理者として届け出るような運用は適切ではありません。実際に施設の状況を把握し、異常が発生した際に必要な判断や対応ができる管理体制が求められます。
技術管理者を置かなければならない施設
技術管理者の選任義務が問題となるのは、廃棄物処理法上の一般廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設に該当する施設です。
産業廃棄物処理施設については、廃棄物処理法施行令第7条に施設の種類と処理能力などが定められています。代表的なものとして、次のような施設があります。
- 汚泥の脱水施設
- 汚泥の乾燥施設
- 汚泥の焼却施設
- 廃油の油水分離施設
- 廃油の焼却施設
- 廃酸・廃アルカリの中和施設
- 廃プラスチック類の破砕施設
- 木くず・がれき類の破砕施設
- 産業廃棄物の焼却施設
- 遮断型・安定型・管理型の最終処分場
ただし、施設の種類だけで判断することはできません。施設によっては、1日当たりまたは1時間当たりの処理能力、火格子面積などの基準が定められています。
注意点
「産業廃棄物を処理する機械がある」というだけで、直ちに廃棄物処理法上の産業廃棄物処理施設に該当するわけではありません。処理する廃棄物の種類、処理方法、施設の処理能力などを確認する必要があります。
また、自社で発生した産業廃棄物だけを処理する施設であっても、廃棄物処理法施行令第7条に該当する場合は、施設設置許可や技術管理者の選任が必要になることがあります。
処分業許可・施設設置許可・技術管理者の違い
実務上、混同されやすいのが、次の3つです。
| 制度 | 対象 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物処分業許可 | 他人から委託を受けて産業廃棄物を処分する事業 | 事業者として処分を業として行うための許可 |
| 産業廃棄物処理施設設置許可 | 施行令第7条に該当する処理施設 | 一定種類・規模以上の施設を設置するための許可 |
| 技術管理者 | 法令上の対象となる廃棄物処理施設 | 施設の維持管理に関する技術上の業務を担当する者 |
他人の産業廃棄物を受け入れて処分する場合は、原則として産業廃棄物処分業許可が必要です。
一方、その事業に使用する施設が施行令第7条に該当すれば、処分業許可とは別に産業廃棄物処理施設設置許可が必要になります。
反対に、処理設備が施行令第7条の規模要件に達しない場合でも、他人の産業廃棄物を受け入れて処分するのであれば、処分業許可が不要になるとは限りません。
したがって、次のように整理する必要があります。
- 他人から委託を受けて処分するか
- どの種類の産業廃棄物を処理するか
- どのような方法で処理するか
- 施設の処理能力がどの程度か
- 施行令第7条の施設に該当するか
- 技術管理者を選任する必要があるか
→「産業廃棄物処分業許可とは|中間処理・施設設置許可・申請手続を解説」を見る
→「産業廃棄物処理施設設置許可とは|処分業許可との違い・必要な手続きを解説」を見る
技術管理者の主な役割
技術管理者は、廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当し、施設が法令に従って適正に運転されるよう管理します。
具体的な業務は施設の種類によって異なりますが、一般的には次のような事項が含まれます。
- 施設の維持管理基準に沿った運転状況の確認
- 処理量、運転時間、温度などの管理
- 設備の点検・整備状況の確認
- 排ガス、排水、騒音、振動などの管理
- 測定結果や維持管理記録の確認
- 異常や故障が発生した場合の対応判断
- 施設の維持管理に従事する職員への指示・監督
- 法令、許可条件、維持管理計画との整合性の確認
たとえば焼却施設では、燃焼温度や排ガス処理設備などの管理が重要になります。破砕施設では、処理能力、投入物、騒音・振動、粉じん、設備の摩耗や損傷などへの対応が必要です。
最終処分場では、擁壁や遮水工、浸出液処理設備、地下水・放流水の水質など、施設の種類に応じた継続的な維持管理が求められます。
技術管理者になれる人の資格要件
技術管理者には、廃棄物処理法施行規則第17条に定められた資格要件があります。
資格要件は一つではなく、技術士の資格、学歴、履修科目、廃棄物処理に関する実務経験などの組合せによって判断されます。
主な考え方は、次のとおりです。
- 所定部門の技術士資格を有している
- 技術士資格と一定期間の廃棄物処理実務経験を有している
- 大学、高等専門学校、高等学校などで所定の課程を修め、必要な実務経験を有している
- 一定年数以上、廃棄物処理に関する技術上の実務に従事している
- これらと同等以上の知識・技能を有すると認められる
必要となる実務経験年数は、学歴や履修した科目によって異なります。単に処分業者に在籍していたというだけではなく、どのような施設で、どのような技術上の業務に従事していたのかを確認する必要があります。
資格要件を学歴・実務経験で証明する場合は、卒業証明書、履修科目を確認できる書類、在職証明書、実務経験証明書などが必要になることがあります。
技術管理者講習を受講して修了試験に合格する必要があります
技術管理者の資格要件を満たす方法として広く利用されているのが、一般財団法人日本環境衛生センターが実施する「廃棄物処理施設技術管理者講習」です。
この講習は、廃棄物処理法に基づく国家試験という位置づけではありません。法令上の資格要件を補完し、施設管理に必要な専門知識と技能を有する技術管理者を養成するための講習です。
講習には、基礎課程と管理課程を組み合わせたコースや、一定の資格・実務経験を有する人を対象とした管理課程などがあります。
講習課程は、管理しようとする施設に応じて区分されています。代表的な区分には、次のようなものがあります。
- ごみ処理施設
- し尿・汚泥再生処理施設
- 産業廃棄物中間処理施設
- 最終処分場
- 破砕・リサイクル施設
- 有機性廃棄物資源化施設
実際の課程区分、受講資格、受講期間、受講料、試験方法などは変更されることがあるため、受講時点の案内を確認してください。
また、講習を修了していても、修了した課程と実際に管理する施設が適合しているかを確認する必要があります。施設の種類によっては、自治体への事前確認が必要です。
勉強方法
技術管理者用の参考書や問題集は世の中に販売されていません。 講習初日に分厚いテキスト数冊が配布され、試験問題はそこから出ます。 つまり一発勝負。でも安心してください、講師は出るところにマーカーを引くよう都度指示してくれます。 これを確実に頭に叩き込んで行けば良いのです。(これが大量で大変なのですが…。) 決して難しくはありませんが、舐めてかかると確実に落ちます。 合格率は公表されていないので不明ですが、落ちた人を何人も見てきたので油断は禁物です。
技術管理者は施設ごとに必要なのか
技術管理者は、対象となる処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当します。
同一敷地内に複数の施設がある場合や、一人の技術管理者が複数施設を担当しようとする場合は、次の点を確認する必要があります。
- それぞれの施設の種類と処理工程
- 技術管理者が有する資格の範囲
- 施設間の距離や勤務体制
- 常時施設の状況を把握できるか
- 異常発生時に速やかに対応できるか
- 各自治体の審査・運用
複数施設の兼任が認められるかどうかは、施設の設置状況や管理体制によって判断が異なる可能性があります。「同じ会社の施設だから兼任できる」と一律に判断せず、申請先へ事前に相談することが重要です。
技術管理者の常勤性と勤務体制
技術管理者には、実際に施設の維持管理を担当できる勤務体制が求められます。
廃棄物処理法上、「すべての場合に常勤でなければならない」と単純に表現することはできませんが、施設の運転状況を把握できず、必要な指示や監督ができない勤務形態では、技術管理者としての役割を果たせません。
特に、別会社の従業員、遠隔地の担当者、ほとんど施設に勤務しない役員などを選任しようとする場合は、実効性のある管理が可能か慎重な確認が必要です。
申請・届出の際には、雇用関係、勤務場所、勤務時間、兼務する職務、緊急時の連絡体制などについて説明を求められることがあります。
技術管理者が退職・異動した場合の対応
選任している技術管理者が退職、異動、休職などによって施設を管理できなくなる場合は、速やかに後任者を確保し、必要な手続きを確認しなければなりません。
技術管理者が不在のまま対象施設を運転し続けることは、法令上の問題につながるおそれがあります。
技術管理者に変更があった場合、施設の軽微変更等届出や処分業に関する変更届など、施設と許可の状況に応じた手続きが必要になることがあります。
変更が生じた後に対応を考えるのではなく、退職や異動の予定が分かった段階で、申請先の行政機関へ相談することが重要です。
「行政から猶予期間をもらえる」とは限りません
後任者が見つからない場合に、当然に一定期間の猶予が認められる制度があるわけではありません。施設の運転継続が可能かどうかを含め、個別に行政機関へ相談する必要があります。
技術管理者を一人だけに依存するリスク
技術管理者を一人だけ確保し、その人がいなくなった場合の対応を決めていない事業者は少なくありません。
しかし、技術管理者が突然退職したり、長期間勤務できなくなったりすると、施設の運営に重大な影響が生じる可能性があります。
特に、施設管理の知識、点検記録の作成方法、異常時の対応、行政機関との協議経過などが一人の担当者に集中している場合は注意が必要です。
実務上は、次のような体制を整えておくことが望まれます。
- 技術管理者の後任候補者を育成する
- 資格要件を満たす従業員を複数確保する
- 必要に応じて技術管理者講習を計画的に受講させる
- 施設の運転・点検・異常時対応を文書化する
- 維持管理記録を複数の担当者が確認できるようにする
- 退職・異動時の引継ぎ手順を決めておく
施設の安定運営という点でも、技術管理者の複数化や後継者育成は重要な課題です。
技術管理者の選任時に確認したい事項
技術管理者を選任する際は、修了証や資格証を確認するだけでなく、次の事項を整理しておきましょう。
- 対象施設が廃棄物処理法上のどの施設に該当するか
- 候補者の資格要件がどの規定に該当するか
- 講習修了課程と対象施設が対応しているか
- 実際に施設を管理できる勤務体制になっているか
- 他施設や他業務との兼任に問題がないか
- 資格要件を証明する書類がそろっているか
- 変更届などの行政手続きが必要か
- 後任候補者を確保できているか
施設設置許可や処分業許可の申請を予定している場合は、申請の直前になってから技術管理者を探すのではなく、施設計画の早い段階で候補者を決めておく必要があります。
宮城県で産業廃棄物処理施設を設置する場合
宮城県内で、廃棄物処理法施行令第7条に定める産業廃棄物処理施設を設置しようとする場合は、原則として廃棄物処理法第15条に基づく設置許可が必要です。
施設を変更する場合にも、変更内容に応じて変更許可または軽微変更等届出が必要になります。
処理施設の設置許可申請では、施設の構造、処理能力、処理工程、生活環境への影響、維持管理計画などについて詳しく審査されます。技術管理者についても、資格要件や管理体制を確認されます。
なお、施設の設置場所が仙台市内である場合は、仙台市が申請・相談窓口となります。仙台市外に設置する場合とは窓口が異なるため、計画地を確定したうえで事前相談を行う必要があります。
産業廃棄物処理施設の設置は、申請書を提出すれば直ちに許可される手続きではありません。施設計画の内容によっては、廃棄物処理法だけでなく、宮城県や市町村の条例・要綱、都市計画法、建築基準法、消防法、公害関係法令などの確認も必要です。
→「産業廃棄物処理施設設置許可とは|処分業許可との違い・必要な手続きを解説」を見る
よくある質問(FAQ)
-
小型の破砕機にも技術管理者が必要ですか?
-
小型の破砕機だから不要、または破砕機だから必ず必要とは一律に判断できません。処理する産業廃棄物の種類、施設の処理能力、設置方法などから、廃棄物処理法施行令第7条の施設に該当するかを確認します。
-
自社の廃棄物だけを処理する施設にも必要ですか?
-
必要になることがあります。他人から処理を受託していなくても、設置する施設が廃棄物処理法上の産業廃棄物処理施設に該当すれば、施設設置許可や技術管理者の選任が必要になる可能性があります。
-
処分業許可があれば技術管理者は不要ですか?
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処分業許可と技術管理者の選任義務は別の問題です。使用する施設が法令上の対象施設に該当する場合は、処分業許可の有無とは別に技術管理者を置く必要があります。
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講習を修了すれば、どの施設でも技術管理者になれますか?
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すべての施設を管理できるとは限りません。講習には施設に応じた課程区分があるため、修了した課程と管理しようとする施設との対応を確認する必要があります。
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技術管理者を外部の人に依頼できますか?
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形式的に外部の有資格者の名前だけを借りることは適切ではありません。実際に施設の維持管理を担当し、従業員を監督できる勤務・管理体制が必要です。外部人材の選任を検討する場合は、事前に申請先へ確認してください。
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技術管理者の変更には届出が必要ですか?
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施設設置許可や処分業許可の状況によって、軽微変更等届出や変更届が必要になることがあります。提出書類や期限は自治体によって確認が必要なため、変更が決まった段階で申請先へ相談しましょう。
あさぎ行政書士事務所は技術管理者資格を持つ行政書士がサポートします
あさぎ行政書士事務所の代表は、産業廃棄物業出身であり、「産業廃棄物焼却処理施設技術管理者」、「破砕・リサイクル施設技術管理者」の2つの技術管理者資格を保有しています。
産業廃棄物処理施設の許可申請では、法律上の要件を確認するだけでなく、施設の処理工程、設備構成、処理能力、維持管理方法などを理解する必要があります。
行政書士としての法的な視点に加え、現場経験と技術管理者の実績を活かした技術的サポートが可能です。
- 計画している設備が産業廃棄物処理施設に該当するかの整理
- 産業廃棄物処分業許可と施設設置許可の手続き
- 技術管理者の資格要件の確認
- 技術管理者の選任・変更に伴う届出
- 施設の変更許可・軽微変更等届出
- 申請前の行政機関との事前相談
- 維持管理体制や申請書類の整備
宮城県・仙台市で産業廃棄物処理施設の設置や処分業許可を検討している方は、計画の早い段階でご相談ください。
※本ページは制度の一般的な解説です。技術管理者の選任義務、資格要件、兼任の可否、必要な申請・届出は、施設の種類や能力、設置場所、自治体の運用によって異なる場合があります。具体的な計画については、施設を所管する行政機関へ事前に確認してください。

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