産業廃棄物の野焼きは禁止|不法焼却の罰則・例外と事業者の注意点

工事現場で出た木くずを燃やす。事業所にたまった木製パレットを空き地で燃やす。ドラム缶やブロックで囲った場所で廃材を焼く――こうした行為は、たとえ自社の敷地内であっても、廃棄物処理法上の不法焼却(いわゆる野焼き)に当たる可能性があります。
廃棄物の焼却は、法律で認められた方法や限定的な例外を除き、原則として禁止されています。「少量だから」「自社から出たものだから」「近隣から苦情が出ていないから」という理由だけで適法になるものではありません。
この記事では、宮城県・仙台市の事業者様に向けて、産業廃棄物の野焼きが禁止される理由、法定の例外、罰則、適法な焼却設備の基準、発覚したときの初動、正しい処理方法を解説します。
※本記事は2026年8月18日時点の法令・公表資料をもとに作成しています。個別案件では、廃棄物の性状、排出経緯、焼却の目的・規模、設備、地域の条例等により判断が異なります。
結論:事業活動で出た廃棄物の野焼きは原則禁止です
まず押さえたいのは、廃棄物処理法の焼却禁止は、産業廃棄物にも一般廃棄物にも適用されるという点です。屋外で直接燃やす場合だけでなく、ドラム缶、素掘りの穴、コンクリートブロックや鉄板で囲った簡易炉など、法定基準を満たさない設備で燃やす場合も問題になります。
| よくある行為 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 工事現場で解体木くずや内装材を燃やす | 廃棄物の処分を目的とする焼却であり、原則禁止 |
| 事業所の木製パレットや梱包材を空き地で燃やす | 廃棄物に該当するものを燃やせば、原則禁止 |
| ドラム缶やブロック囲いで事業ごみを燃やす | 法定の焼却設備基準を満たさないため、原則禁止 |
| 事業で発生した剪定枝や刈草を燃やす | 農林漁業の例外に当然には当たらず、個別判断が必要 |
| 基準に適合する焼却炉で処理する | 処理基準を守り、必要な許可・届出等を確認した場合に限られる |
| 政令で定める例外として焼却する | 目的・必要性・規模などの要件を満たす場合に限られる |
「火を使う行為」がすべて廃棄物処理法違反になるわけではありません。しかし、不要物を処分するために燃やしているのであれば、名称を「たき火」や「燃料利用」と変えても、実態に即して判断されます。
野焼き・不法焼却とは
一般に「野焼き」とは、法令上の基準に適合する焼却設備を使わずに廃棄物を焼却することをいいます。廃棄物処理法では「不法焼却」という用語を定義しているわけではありませんが、同法第16条の2に違反する焼却を、実務上このように呼ぶことがあります。
対象となる場所は山林や河川敷に限られません。次のような場所でも、廃棄物を違法に焼却すれば問題になります。
- 会社、工場、店舗、倉庫の敷地
- 建設工事・解体工事の現場
- 資材置場、駐車場、空き地
- 農地、山林、河川敷
- 自宅の庭や私有地
自分が所有する土地かどうかは、焼却禁止の適用を左右する基準ではありません。また、自社が排出した産業廃棄物を自ら処理する場合も、廃棄物処理法の処理基準や施設に関する規制を守る必要があります。
廃棄物処理法第16条の2が定める焼却禁止
廃棄物処理法第16条の2は、次のいずれかに該当する方法を除き、廃棄物を焼却してはならないと定めています。
- 廃棄物処理基準に従って行う焼却
- 他の法令またはそれに基づく処分により行う焼却
- 公益上・社会慣習上やむを得ない、または生活環境への影響が軽微なものとして政令で定める焼却
つまり、「屋外なら禁止、焼却炉なら自由」という単純な区分ではありません。焼却炉を使用する場合も、設備と焼却方法の両方が法定基準に適合し、さらに施設の規模や地域に応じた許可・届出等を確認する必要があります。
事業者に多い不法焼却の例
建設廃材・解体廃材を現場で燃やす
柱、合板、壁紙、断熱材、廃プラスチック類などを、減量や片付けのために現場で燃やす行為は、典型的な不法焼却です。木材だけを選別した場合でも、廃棄物を処分する目的で燃やすのであれば、原則は変わりません。
塗料、防腐剤、接着剤等が付着した木材や複合材を燃やすと、有害物質や悪臭、黒煙が発生するおそれもあります。火災や近隣被害を生じさせれば、廃棄物処理法以外の責任が問題になることもあります。
木製パレットや梱包材を「薪」として燃やす
使用済みの木製パレットや梱包材について、「木だから薪と同じ」と考えるのは危険です。廃棄物に該当するかどうかは、物の性状、排出状況、通常の取扱い、取引価値、所有者の意思などを総合して判断されます。
不要物として処分する実態があるものを、焼却直前に「燃料」と呼び替えても、それだけで有価物になるわけではありません。とくに、処理費の節約を目的として事業所の不要物を燃やす場合は、不法焼却を疑われる可能性が高くなります。
ドラム缶・ブロック囲い・簡易焼却炉で燃やす
ドラム缶、素掘りの穴、鉄板やコンクリートブロックで囲っただけの設備は、通常、法令が求める焼却設備の構造基準を満たしません。市販の小型焼却炉であっても、製品名や販売表示だけで適法性が保証されるものではありません。
「炎が外から見えない」「煙が少ない」という事情だけでも足りません。設備構造、燃焼温度、投入方法、排ガス、焼却灰の飛散防止などを確認する必要があります。
事業所の剪定枝・刈草を燃やす
農業・林業・漁業のためにやむを得ず行う焼却は法定例外の一つですが、造園、施設管理、清掃、建設工事などの事業で発生した剪定枝や刈草が、当然にこの例外へ入るわけではありません。
また、剪定枝や刈草が産業廃棄物か事業系一般廃棄物かは、発生した事業や工程などによって異なります。分類が一般廃棄物であっても、焼却禁止の対象外になるわけではありません。分類に迷う場合は、産業廃棄物と一般廃棄物の違いもご確認ください。
機密書類や不良品を自社で焼却する
情報漏えいや流出を防ぐ目的があっても、基準に適合しない方法で廃棄物を焼却することはできません。機密書類であれば溶解処理や機密処理、製品であれば性状に合った破砕・再資源化・適正処分など、許可業者を含む適法な処理ルートを検討します。
委託先が敷地内で燃やしていた
実際に焼却した受託業者だけでなく、排出事業者側の委託方法や対応も確認されます。不適正処理を知りながら委託を続けた、許可内容を確認していなかった、著しく安い料金で安易に委託したといった事情があれば、委託基準違反や措置命令など、別の責任が問題になる可能性があります。
産業廃棄物は、委託後も排出事業者の責任がなくなるわけではありません。詳しくは産業廃棄物の排出事業者責任をご覧ください。
野焼きが例外として認められる5つの類型
廃棄物処理法施行令第14条は、焼却禁止の例外を次の5類型に限定しています。
| 例外の類型 | 例 | 事業者が注意する点 |
|---|---|---|
| 国・地方公共団体が施設管理のために必要として行う焼却 | 河川や道路等の管理に伴うもの | 民間事業者が独自の判断で援用できる例外ではない |
| 災害の予防、応急対策または復旧のために必要な焼却 | 災害時の応急的な焼却等 | 日常的な在庫整理や廃材処分は含まれない |
| 風俗慣習上・宗教上の行事に必要な焼却 | どんと祭等の伝統行事 | 行事を名目に事業系廃棄物を混ぜることはできない |
| 農業・林業・漁業を営むためにやむを得ない焼却 | 稲わら、枝条等の焼却 | 「やむを得ない」範囲に限られ、廃ビニールや廃タイヤは対象外 |
| 日常生活で通常行われる軽微な焼却 | 小規模なたき火、キャンプファイヤー等 | 事業活動で生じた廃棄物を処分するための焼却には使えない |
例外は、廃棄物を安く処分するための抜け道ではありません。焼却の目的、必要性、対象物、量、頻度、周辺環境などを踏まえて判断されます。例外に当たり得る場合でも、煙、悪臭、灰の飛散等により周辺の生活環境へ支障を与えてよいわけではなく、消防・大気・条例上の規制も別に確認する必要があります。
バーベキューやキャンプファイヤーは違法なのか
バーベキュー、キャンプファイヤー、日常生活上の軽微なたき火は、一定の範囲で焼却禁止の例外となり得ます。ただし、これは廃棄物を自由に燃やしてよいという意味ではありません。
- 燃料用として用意した炭や薪を、施設や地域のルールに従って使用する
- ペットボトル、食品包装、紙皿、生ごみなどを火に入れない
- 廃タイヤ、廃ビニール、塗装材、防腐処理材を燃やさない
- 使用後の火を確実に消し、灰も適切に処理する
- 火気使用が禁止・制限されている場所や期間では行わない
施設管理者の許可や消防への届出が必要な場合もあります。ただし、消防への届出は、廃棄物処理法上の焼却を許可する手続ではありません。
適法な焼却設備に求められる主な基準
廃棄物を焼却設備で処理する場合は、少なくとも法令が定める構造・焼却方法の基準に適合する必要があります。仙台市と宮城県の公表資料では、主に次の基準が示されています。
設備の主な構造基準
- 燃焼ガスを800℃以上の状態で焼却できること
- 燃焼に必要な量の空気を供給できること
- 原則として、外気と遮断した状態で廃棄物を定量ずつ投入できること
- 燃焼ガスの温度を測定する装置があること
- 燃焼温度を保つために必要な助燃装置があること
焼却方法の主な基準
- 煙突の先端以外から燃焼ガスを排出しないこと
- 煙突から火炎や基準を超える黒煙を排出しないこと
- 焼却灰や未燃物を飛散させないこと
これらを満たせば、あらゆる焼却が自動的に認められるわけではありません。施設の種類・処理能力によっては廃棄物処理法上の施設設置許可が必要となり、大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、自治体の条例・指導要綱等に基づく届出や手続が必要になる場合もあります。
焼却施設の新設・変更を検討している場合は、設備を購入する前に、産業廃棄物処理施設設置許可の対象と手続を確認し、管轄行政庁へ事前に相談することが重要です。
不法焼却の罰則は未遂・法人にも及びます
焼却禁止に違反した者には、次の刑事罰が定められています。
- 5年以下の拘禁刑
- 1,000万円以下の罰金
- またはその両方
実際に焼却を完了していなくても、焼却禁止違反は未遂も処罰対象です。また、従業員等が法人の業務として違反した場合には、行為者本人に加え、両罰規定により法人へ3億円以下の罰金が科される場合があります。
さらに、産業廃棄物処理業者やその役員等が処罰を受けた場合は、許可の欠格要件や取消しに関わる可能性があります。不法焼却は「注意を受けて終わる程度の問題」と考えるべきではありません。
不法焼却が社内や委託先で判明したときの初動
不適切な焼却を把握したときは、事実関係が分からないまま隠したり、灰や残置物を移動・廃棄したりせず、次の順序で対応します。
- 焼却を直ちに中止する
火災や延焼のおそれがある場合は人命・安全を優先し、消防等へ連絡します。 - 事実関係を整理する
焼却した物、量、日時、場所、設備、指示者、実行者、委託関係を確認します。 - 写真・契約書・マニフェスト等を保全する
原因究明と行政対応に必要な記録を残します。 - 焼却灰や未燃物を適切に管理する
性状と発生経緯を確認し、廃棄物の種類に応じて適正処理します。 - 管轄行政庁と専門家へ相談する
行政への報告、是正方法、再発防止策を個別に検討します。刑事手続への対応が必要な場合は、弁護士への相談も検討します。
連絡や報告の要否・方法は事案によって異なります。自己判断で説明を作り込むより、把握できた事実と不明点を分けて整理することが大切です。
事業者が取るべき正しい処理方法
1.廃棄物の種類を正しく分類する
同じ木くずや枝でも、排出した業種・工程・物の性状によって、産業廃棄物か事業系一般廃棄物かが変わることがあります。まず排出工程を確認し、廃棄物の種類を特定します。
2.処理業者の許可内容を確認する
産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託する品目、運搬区域、処分方法、施設等が許可内容に含まれているかを確認します。許可証があるというだけでは足りません。具体的な確認方法は、産廃業者の許可証はどこを見る?で詳しく解説しています。
3.書面による委託契約を締結する
排出事業者は、原則として収集運搬業者・処分業者とそれぞれ直接、書面による委託契約を締結します。契約関係の考え方は、産廃委託契約を2者間で締結する理由で詳しく解説しています。
4.マニフェストで処理終了まで確認する
産業廃棄物を引き渡すときは、原則としてマニフェストを交付または電子登録し、運搬・処分・最終処分の終了を確認します。詳しくは産業廃棄物マニフェストの運用管理をご覧ください。
5.現場ルールと教育を整備する
「木だけなら燃やしてよい」「少量なら問題ない」といった現場判断を防ぐため、廃棄物の分別、保管、持出し、委託、緊急時の連絡先を社内ルールにします。協力会社にも禁止事項を伝え、巡回や委託先確認を継続します。
宮城県・仙台市で焼却を検討するときの注意点
仙台市は、焼却設備を使用しない野外焼却を一部の例外を除いて禁止すると案内し、基準に合わない簡易設備や方法による焼却も禁止しています。また、2026年3月1日からは、気象条件等に応じて林野火災注意報・警報を発令し、対象区域で火の使用を制限する運用を開始しています。
宮城県も、事務所、工場、店舗等から出る廃棄物を焼却するすべての焼却炉に構造基準が適用され、基準不適合炉は使用できないと案内しています。一定以上の処理能力を持つ焼却炉では、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく事前届出も必要です。
焼却施設は、設備の能力だけでなく、設置場所、対象物、処理量、排ガス対策、周辺環境などを含めた検討が必要です。導入後に「使えない設備だった」とならないよう、計画段階で管轄行政庁へ確認してください。
よくある質問(FAQ)
-
少量なら燃やしても大丈夫ですか?
-
事業活動で生じた廃棄物について、量が少ないことだけを理由とする一律の除外規定はありません。日常生活上の軽微なたき火という例外は、事業系廃棄物の処分を認めるものではありません。
-
自社から出た産業廃棄物を自社敷地で燃やす場合も禁止ですか?
-
原則として禁止です。自ら処理する場合でも、焼却禁止、処理基準、施設規制等を守る必要があります。所有地であることや、自社の廃棄物であることは、違法性をなくす理由になりません。
-
農家が稲わらや枝を燃やすのは適法ですか?
-
農業を営むためにやむを得ない焼却は例外となり得ますが、対象物・目的・必要性・規模などから個別に判断されます。廃ビニール、廃タイヤ、生活ごみ等を一緒に燃やすことはできません。地域の条例、火災予防、周辺環境への配慮も必要です。
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木製パレットを薪ストーブの燃料にできますか?
-
一律には判断できません。不要物として排出された実態があれば、燃料と呼んでも廃棄物に該当する可能性があります。また、塗装、接着剤、防腐処理、釘等の混入や、設備側の使用条件にも注意が必要です。処分目的の形式的な燃料化は避けてください。
-
消防署へ届け出れば野焼きできますか?
-
できません。消防関係の届出は火災予防上の手続であり、廃棄物処理法上の焼却禁止を解除する許可ではありません。それぞれの法令を別に満たす必要があります。
-
処理業者が勝手に燃やした場合、排出事業者に責任はありませんか?
-
排出事業者の責任が自動的になくなるわけではありません。委託先の許可、契約、処理状況を確認し、不適正処理を把握したときは委託を止めて対応する必要があります。関与の程度によって、委託基準違反や措置命令等が問題になる可能性があります。
まとめ
産業廃棄物をはじめとする廃棄物の野焼きは、法定の方法・例外を除いて原則禁止です。建設廃材、木製パレット、剪定枝、機密書類なども、「少量」「自社敷地」「木質」「自社処理」という理由だけで燃やすことはできません。
重要なのは、次の5点です。
- 廃棄物の種類と排出工程を確認する
- 野焼きの例外を広く解釈しない
- 焼却設備は構造・方法・許可・届出を事前確認する
- 委託先の許可、契約、マニフェストを整備する
- 不適正な焼却が判明したら、直ちに中止して事実を保全する
あさぎ行政書士事務所では、宮城県・仙台市を中心に、産業廃棄物処理業許可、処理施設設置に関する手続、委託契約書や社内管理体制の整備を支援しています。焼却施設の導入を検討している、現在の処理方法に不安がある、委託契約や許可内容を見直したいという事業者様は、以下の無料相談窓口からご相談ください。

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